「ゼロベースで考えよ!」
創造性が求められる時、良くつかわれる台詞です。
過去の体験、知識は全て「思考の制約」となってしまいます。
だからこそ、それらすべてを忘れ去って、
「ゼロベース」で考えなければなりません!
、、、と言っても、それができないから苦労しているんですよね。
そもそも、ヒトは前提を置いて考えがちです。
その方が考えることが楽なんですよ。
■ ヒューリスティック
その前提のひとつが「ヒューリスティック」です。
経験則や簡便な手法で「楽をして」結論を求める傾向、
これを「ヒューリスティック」と呼びます。
いくつか代表的なモノをご紹介しましょう。
(1)利用可能性ヒューリスティック
使えそうなヒントや情報にすぐに飛びついて結論を出す。
(2)代表制ヒューリスティック
少ない情報で全体を判断してしまう。
(3)感情ヒューリスティック
好き嫌いを重視して、結論を判断してしまう。
(4)再認ヒューリスティック
知っていること、有名であることを重視してしまう。
ヒトはこんなヒューリスティックを持っています。
つまり、これらが前提となってモノゴトを考えてしまうことで、
どうしても発想が広がらなくなってしまうんですよね。
■ 心理的前提
その他、ヒトは知らないうちに前提を置いていることがあります。
(1)アンカリング効果
最初に知った情報を基準に考えてしまう。
(2)認知的不協和
自分の判断を裏付ける情報のみを重視してしまう。
(3)現状維持バイアス
原価のリスクを嫌い、現状維持を優先してしまう。
(4)フレーミング効果
モノの見方、表現方法に引きずられてしまう。
■ 前提との対決
そんななかで、いきなり「前提をはずせ!」と言われても、
なかなか難しいものです。
そこで、
(Step1)前提を知る
↓
(Stpe2)前提をはずしてみる
↓
(Step3)前提を反転させる
というステップを踏んでみてはいかがでしょうか?
まず自分の考え方が何らかの前提を置いていると考え、
既定の先例を列挙し、それを反転させて考えてみる発想法です。
下図を参照して下さい。
「通勤ラッシュを避ける」方法を発想しています。
まず、一番手軽なのは「空いている車両に乗る」というものです。
しかし、これには「同じ電車に乗る」という前提を置いています。
それなら、次に考えるのは「同じ電車に乗らない」という
反転させた前提を置いてアイディアを考えるわけですね。
これを繰り返すと、アイディアはどんどん広がっていくはずです。
■ 総括
このゼローベース思考というヤツは、前提との対決です。
「前提を知り、前提をはずし、前提を反転させる」
単に「ゼロベースで考えろ」と言うのではなく、
適切な発想プロセスによって、アイディアは広がりを見せるはずです。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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