ブログネタ
仕事術 に参加中!


そもそも「アイディア発想が得意!」というヒトは少ないと思います。
先日の「家弓正彦の仕事塾」でも、
「自分でアイディア発想が得意だと思う人」に挙手してもらいましたが、
80名中2〜3人ってところでしたかね、、、

このあたりは、「なぜヒトは発想が苦手なのか?」というエントリーで
書きましたので、詳細はそちらをご覧ください。

しかし、発想術としては、様々な技法が考えられてきました。
ここでは、その代表的なもの25個を厳選して、解説していきたいと思います。


【Tech.01】ブレインストーミング

これは最もオーソドックスな発想法だと思います。
フリーディスカッションで、自由に発言してもらうことで
アイディアを広げていくというもの。

これに類する技法は古くからあったようですが、
アレックス・F・オズボーンによって命名されてから普及しました。

しかし、このブレストにも基本四原則があります。

(1)質より量

そもそもなぜブレストが有効なのか?
それはヒトの発言したアイディアにヒントを得て、
新たな視点や発想が生まれる効果を狙っているわけです。

「あっ、それがアリなら、これもアリだよね、、、」といった具合。

いわば「連想ゲーム」みたいなものですね。
つまり、実現可能性のないバカげたアイディアでも、
そこから新しい発想が生まれる可能性があるわけです。

したがって、まずはアイディアの質のことは気にせず、
発想の材料をたくさん創出することが重要だと考えられます。

(2)自由奔放

そこで、まず実現可能性や制約などを一切考えずに、
自由奔放な発想をすることが求められます。

ここでは、奇抜さ、ユニークさ、斬新さなどを重視したいところですね。
新規制のある発想は最初は笑いものにされることが多いものです。

(3)批評、批判禁止

そんな自由は発想を妨げるのが「批評や批判」です。
「そんなこと、できるわけがない」「バカげている」、、、

まず、質を問わずに発想の材料を出しているのですから、
ここで「評価」をしてはならないのです。

(4)結合、改善

そして、ヒトが発言したアイディアをもとに、組み合わせたり、
一部を変えたりすることで、またユニークなアイディアを生み出していく。
そんなプロセスで、発想はどんどん広がっていくはずです。

ここでは、自分独自のアイディアにこだわらずに、
ヒトのアイディアに便乗する、相乗りすることが推奨されるわけです。


しかし、ブレストにも弱点があると言われます。
それは、、、

(1)他者発言による発想抑制

ヒトの発言には影響力があります。
それが良い方向に出れば、前述の「結合、改善」が生まれ、
素晴らしいアイディアに発展していくのですが、
悪い影響を受けてしまうと、ヒトの発言が思考の制約になってしまうことがあります。

例えば、集客策を考えているとしましょう。
最初に「ネット広告」に関するアイディアが出た結果、
それ以降、皆がネット広告に関する集客策のみに目が奪われてしまい、
それ以外の集客策に話が及ばないというような現象です。

これを解決するには、ファシリテーターの技術が必要ですね。
ファシリテーションについては、下記をご参照ください。

【参照】会議が変わる!ファシリテーションの技術(1)


(2)他者評価による発言不活性

自由奔放といっても、ヒトは誰しもが、
「他人から高く評価されたい」、「デキる奴だと思われたい」
という欲がありますよね。

ブレストでは、ルールがあるから表立って批判はされないけど、
「ハラの中ではバカにされているかもしれない」
なんて思ったら、自由な発言はできませんよね?
とすると、「あまりバカな発言はできない」と思ってしまうのも、
それは無理からぬことだと思うのです。

(3)フリーライド(ただ乗り)

ブレストは自由に議論、発言するところに発想の広がりが期待できるので、
逆に、個々人の責任などは曖昧になりやすいものです。

そうすると、必ず議論に対して消極的になったり、手抜きをするメンバーが
現れやすくなるんですよね。

いろんな立場の多様な視点から意見を出し合うのがブレストのコツです。
やはり全員参加型で、積極的な発言が行われることが望ましいところです。



それらの弱点を補うために考えられた技術が、プレインライティングです。


【Tech.02】ノミナル・ブレイン・ライティング

ブレストが口頭で意見を出し合うのに対して、ブレインライティングは、
その前に一旦「紙に書く」という作業を行います。

最もシンプルなブレインライティングが「ノミナルブレインライティング」です。

これは、メンバーはまず手元のメモにアイディアを書きます。
書き終えたら、それを順にひとつずつ読み上げていき、
それをもとにブレストを行うものです。

これには、以下の観点から、大きな効果が期待できます。

(1)他者の意見に影響されない

書く作業のあいだ、他者の意見はインプットされません。
あくまで、自分だけでアイディアを考えるのです。
それによって「他者発言による発想抑制」という
ブレストのデメリットを解消することができるはずです。

(2)フリーライド防止

また、必ず自分のメモを読み上げる作業を行いますので、
「他の人と同じです」といったフリーライドを防止できます。
似たアイディアも必ず読み上げて、似たメモ同士をまとめておくとよいでしょう。

(3)数多く書くことを目標とする

また、最初に書きあげるアイディア数の目標を設定することをお勧めします。
例えば、「3つ考えて下さい」とすると、
やはり自分のアイディアのなかでBest3を厳選したくなっちゃうんですね。
むしろ、「10個考えて下さい」とすると、
5〜6個までは順調に書きあげても、だんだん発想が苦しくなって、
最後は「えぇぃ、こんなアイディアでもいいや!」と、
バカげたアイディアが生まれてくるものです。

何と言っても、「質より量」ですからね、、、
そして、まず出したいのは「発想の材料」ですから、、、

ブレインライティングにも、もう一つの技法があります。


【Tech.03】インタラクティブ・ブレイン・ライティング

これもブレスト前に「アイディアを書く」という点では同じです。
しかし、インタラクティブ性を活用するために、
「6-3-5シート」というフォーマットを活用します。

 「6-3-5シート」のイメージ
635シート


まず、6人のメンバーがそれぞれシートを1枚持ち、
その最上段(1の段)に、A〜Cの3つのアイディアを書きます。
そのシートを隣の人に回して、次の人が2段目に
3つのアイディアを書くと言う作業を繰り返します。

この時、2段目に書く人は、1段目のアイディアを見て、
そのアイディアに触発されて、新たなアイディアを書くことができます。
いわば、紙の上でブレストが行われるイメージですね。

こうやって一巡すると、一枚のシートに18個(6×3)のアイディアが
記入されることになり、それが6枚出来あがると、
全部で108個のアイディアが生まれます。



■ 総括

今回とりあげたブレインストーミングとブレインライティングは、
発想のズラシのテクニックなんですね。

「自由奔放」といっても、ヒトはなかなか発想を飛ばすことはできません。
これは、「なぜヒトは発想が苦手なのか?」で述べたとおりです。

しかし、少しずつズラせば、徐々に今までなかった視点で、
モノゴトを考えることができるようになるんです。

ズラシ

ヒトのアイディアを材料として、少しずつズラした視点で発想していく、
そんな発想の技術を皆さんは日ごろから使っているはずです。
しかし、それをしっかり意識してズラしていくことで、
さらに効果的に発想することが可能となるはずです。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
 Twitter : http://twitter.com/Kayumi

【関連エントリー】
発想技術25選(1)〜ズラシの技術
発想技術25選(2)〜発想のために整理せよ
発想技術25選(3)〜論理で発想
発想技術25選(4)〜意識を変える技法
発想技術25選(5)〜組合せの技法

発想技術25選(6)〜ゼロベース思考
発想技術25選(7)〜入替えて発想する