個人的には、今年のヒット商品番付で一番共感しているのが「ハイボール」です。
特に、この忘年会シーズンには、何かとお酒を口にする機会が増えますよね。
しかし、、、
かつて私が学生だったころは、コンパと言えば必ずウイスキーがメインだった。
その後、いつの間にかウイスキーを飲むことがなくなり、
「ハイボール」なんて言葉はすっかり死語となっていた。
ところが、「やればできる」んですね。
まさかハイボールが復権するとは思いませんでした。
そもそもハイボールは、1950年ごろにサントリーが仕掛けて、
ブームとなったのがはじまりのようで、、、
しかし、近年はすっかり焼酎やワインブームに押されてしまって、
ウイスキー世代としてはちょっと寂しい気持ちもあったんです。
以前、若年層にウイスキーのイメージを尋ねたら、
「イメージも何も、お店に置いてないから全く分かりませんよ」
なんて一蹴されたことを思い出します。
ふーん、そんなポジションになっちゃったんだ、、、
■ 若年ターゲティングによる顧客若返り
しかし、それをヒット商品番付に載るまでに育てたのが、
サントリーの「プロジェクトH」ですね。
これまでサントリー角瓶と言えば、40〜50歳代がメインターゲットでしたが、
敢えて20〜30歳代を狙ったとのこと。
これは、顧客層の高齢化に伴って、需要が先細りしていく脅威に対して行われる、
若年層をターゲットとした市場開拓の戦略ですね。
似たような戦略として、佐藤製薬のユンケル皇帝液が
「タモリ」キャラクターで中高年をグリップしていたのに対し、
敢えて「イチロー」にキャラクターをスイッチして、
若年層浸透を図った、、、なんて戦略に通じます。
ロングセラーの商品にとって、顧客の高齢化は深刻な課題です。
では、その若年層にどのような提案を行ったか?
基本はウィスキーをソーダで割るという飲み方提案です。
TVCMでも徹底してハイボールを積極展開していますね!
若年には「全く新しい飲み方」として新鮮だったのではないでしょうかね?
【チャネル戦略】外食でのハイボール提案
まず、料理と合わせて飲んでもらおう!という提案。
飲食店向けイベントとして「角ハイボールナイト」を実施。
それを機にハイボールを扱ってもらうことを狙ったんですね。
さらに、取扱店にはm専用サーバや専用ジョッキなどを提供しました。
結果、現在は約6万点が角ハイボールを取り扱い、前年比4倍だそうで。
いや、この結果を見れば、このイベントは大成功だったと評価できそうです。
チャネル戦略、およびチャネルプロモーションの勝利です。
【プロモーション戦略】家飲みでのハイボール提案
昨今の不景気のせいか、いまどきの若年層の間では「家飲み」がブームだとか、、、
私も、そんな話は以前から聞いていたのですが、
しっかりサントリーはそこに入り込むことを考えたようです。
スーパーやコンビニでの陳列も角瓶と炭酸水をセットで置き、
さらに角瓶+炭酸水+専用ジョッキという「角ハイボールセット」を販売。
商品戦略として、バンドル(組み合わせ)型商品まで準備して、
店頭プロモーションによる「ハイボール」提案。徹底していますね。
■ ネット系プロモーションはこれから???
「角ハイボールの部屋」なるWebサイトも展開しています。
、、、と思ったんだけど、コンテンツは未だほとんどナシ?
角瓶のコーナーに「おいしいハイボールの作り方」などがあり、
コンテンツの構成はもうひと工夫欲しいところですね。
ハイボールにテーマを絞ってはいませんが、
ブロガー向けイベントは実施しているようですね。
でも、、、
ハイボールブログ、Twitterの公式アカウントなどへの展開もしていないみたいだし、、、
お酒の場合、ブログやTwitterのような対話系のコミュニケーションは
とても有効だと思うのですが、いかがでしょうかね?
飲み方のこだわり、ちょっとしたイベントの告知など手軽な情報が、
顧客にとっては影響力を持っていて、プロモーション効果が期待できそうなんですけどね?
ということで、
マス広告、イベント、店頭プロモーションは徹底して実施。
あとは、ネット系プロモーションの活用に取り組み余地が、、、
今後の展開を楽しみにしています。(^^)
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi
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銅製のグラスで出していましたね。
ガラスより違った高級感がありました。
あと、ブランドの若返りは少し前ですが
花王が”エッセンシャル”の”かわいいをつくる”で
仕掛けてましたね。
先日、Kリンさんの営業部長さんと話をしてたのですが、ビールの消費が伸びずビールの代替がかなり増えてきたことを嘆いておられました。
ビールもプロモーションを変えていかないとジリ貧になりそうですよね。
コンビニの棚を確保するために新商品をバンバン作らないといけない競争も、少しは考える時期にきているような気がします。
そうですねぇ〜。
Kリンも花王も、ロングセラー商品を持ってますから、
顧客の高齢化と若年層開拓は死活問題ですね。
ホッピーはかなり若返りを図ったと思いますよ。
以前、「ホッピーも疾走する」というエントリーを書きました。
⇒ http://kayumi.jp/archives/852952.html
ホッピーの公式サイトを見ると、実にPOPなトーンで、
驚かされたものです。⇒ http://www.hoppy-happy.com/index.html
Kay