意思決定の局面を迎えた場合、
まず選択肢を持つことが必要なのは前回のエントリーで述べたとおりです。

しかし、最終的に最良の意思決定をするためには、
4つのテクニックを用いることが必要なんです。

その4つとは、、、



【Step4】最良案の決定

ここが最も難しいプロセスです。
どれも捨てがたい、、、どれも魅力的なスポットばかりです。
この選択に、しっかり定石を当てはめて考えたいものです。

【テクニック1】 制約条件を考える

まず、選択肢を選ぶ前に、目的を達成するための制約条件を考えましょう。

デートに誘う際、平日のアフター5に約束をしていたとします。
ということは、それが「制約条件」になりますよね?

この制約を加えると、当然「選択肢5:伊豆の隠れ家温泉S旅館」は
選択肢からは外れることになってしまうわけです。

このように、多くの場合制約条件が存在しています。
目的設定に当たって、制約をしっかり把握し、
あらかじめ目的に盛り込んでおくとよいでしょう。

つまり、最初から
「平日アフター5の素敵なデートで親密になる」
というのが、目的と言うことになります。


【テクニック2】リザルトリストを作成する

より良い意思決定のためには、それぞれの選択肢によって
得られる結果を予測して、比較検討することが必要となるでしょう。
これがリザルトリストです。
いわゆる比較表のようなかたちで情報を整理するのです。(下図参照)

 <リザルトリスト>
結果表


【テクニック3】オプション勝ち抜き戦

まずは、比較すべき選択肢を減らすプロセスです。
つまり、あきらかに劣る選択肢を排除するわけです。

そのためには、2つの選択肢を選んで優劣比較をしてください。
例えば、「I店」と「K店」では、I店が優れている項目はあっても、
K店が優れている項目はありません。

ということは、明らかにK店はI店と比較して
明らかに魅力が劣ると判断して良さそうです。

このように、先にわかりやすい排除判断を行い、
選択肢をできるだけ減らすことによって、
できるだけ「比較検討のプロセスを単純化」したいわけです。


【テクニック4】等価交換メソッド

次に、比較項目を減らして単純化を図るプロセスです。

HカントリーとマジックバーJ店は、立地という点でJ店のほうが便利です。
しかし、J店では食事ができないため、他の店で食事を済ませ、
移動しなければならないというデメリットがあったとしますね。

そうすると、この移動の手間という点で、
結局「どちらも同じ」と判断できそうです。

つまり「立地」については、考えなくて良さそうだと処理できるわけです。

ここまでのプロセスでは、できるだけ「選択肢を減らす」、
そして「比較項目も減らす」ことによって、比較評価を単純化し、
意思決定がしやすい環境を創っていると考えられますね。

やはり、意思決定にはラクをすることが秘訣です!


【テクニック5】リスク評価

列挙された選択肢に「リスク」はありませんか?
ここで、考えられるリスクを分類してみましょう。

(1)不正確

これは、想定した結果に対して誤っている可能性のことです。

例えば、Hカントリーの食事を「普通」と評価しています。
メニューを見ると普通のレストラン並みと考えたのですが、
実は、ここでちゃんと食事をしたことがないので、
その結果(食事は普通)は、不正確であるリスクを抱えています。

(2)不明瞭

想定できない事実や予想が存在するリスクを指します。

Hカントリーの娯楽性は、あくまでゴルフ好きなら楽しめます。
確かに彼女はゴルフをするとは聞いていましたが、
平日アフター5にゴルフバーで楽しむほど好きとは限りません。
実に不明瞭な変数を抱えていることになります。

(3)不完全

前提や与件がムケモレていた場合、それは大きなリスクとなります。

広尾は彼女の家から遠いという前提を忘れていませんか?
そもそも、家の場所などは事前に考慮しておけ!ってところでしょうが、
それ以外にも隠れた前提などがあるかもしれません。

そんなリスク評価を加えると、どうやらHカントリーより、
マジックバーJ店のほうが魅力的な選択肢と評価できそうですね。


【テクニック6】目的との整合性

そもそも今回の意思決定の目的は何だったでしょうか?
「平日アフター5の素敵なデートで親密になる」でしたよね?
その意味あいを「会話を交わしてお互いをよく知る」ことを通じ、
仲良くなり、親密な関係を築くことを目指しているはずです。

その目的との整合性を考えてみましょう。
すると、マジックバーJ店はどうでしょうか?

確かに誰でも確実に楽しめるのは魅力です。
しかし、彼女はすっかりマジックに気が奪われ、
二人の会話は弾まないかもしれません。

楽しい時間は過ごせるかもしれませんが、
会話を通じて親密になるという目的には合わないですよね。

もちろん、そもそもの目的を、自分は会話が苦手だから、
会話によらずに楽しい時間を過ごすことだとすれば、
むしろJ店がとても魅力的な選択肢となるかもしれません。


■ 意思決定のカギは?

重要な意思決定のカギは何でしょうか?

実は、意思決定とは、
最も魅力的な選択肢を決めるという意識ではなく、
重要な判断基準を決めると言うことだと思います。

判断基準

ここでは、「会話」という判断基準を最も重要視しよう!
という意思決定をしたわけですよね。

その結果として、自ずとI店が最も魅力的である
という意思決定ができたわけです。

「判断基準を考える!」

これが、最も重要な意思決定のカギだと思うのです。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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