前回のエントリーでご紹介したように、
意思決定の基本プロセスには4つのステップがあります。
今回は、その前半3つのプロセスについて述べますね。

【Step1】イシュー特定

イシューとは、「今、決めなければならないこと」を指します。

例えば、「従業員の給料を上げるか?否か?」に悩んでいたとします。
一見、意思決定のイシューは、
「上げる/上げない」を決めることと思いがちです。

しかし、本質的なイシューはそこにあるのでしょうか?

ここで、「何のために給料を上げるのか?」を考えて下さい。
その目的が従業員の動機づけにあるなら、
ここでのイシューは、「実施する動機づけ策を決めること」
にあるはずです。

そんな目的を明らかにすることによって、
給料以外の動機付け政策も視野に入ってきますよね?

さらに掘り下げて、なぜ「動機づけたいのか?」を考えると、
「従業員満足度を向上させること」がその上位目的になりそうです。

しかし、まだまだ掘り下げができそうです。
従業員満足度を向上させようとしているのは、
お客様へのサービス向上が目的かもしれません。

これらを図示すると、下記のような構造で考えることができます。

イシューツリー

まずは、このように常に「上位目的はないのか?」を考え、
その本質的な目的を明らかにすることが、意思決定のスタートだと思うのです。

【Step2】目的の構造化

次に、最上位の目的をブレイクダウンして、構造化を図ります。

例えば、「コンカツを成功させる!」という目的を設定してみましょう。
この達成したい上位目的をブレイクダウンして、下位目的を挙げるわけです。
その時、上位目的を達成するための「必要十分条件」を考えると良いでしょう。

下位目的1:「理想の相手を見つける」
下位目的2:「親密な関係を作り上げる」
下位目的3:「交際をスタートさせる」
下位目的4:「上手なプロポーズをする」

この4つの下位目的を達成すれば、上位目的の「コンカツ」の成功を
導くことができるはずですよね?

下位目的は、さらにブレイクダウンできます。
2番目の下位目的「親密な関係を作り上げる」を上位目的とみなせば、
その下位目的として、

下位目的A:素敵なデートで仲良くなる
下位目的B:好意を持ってもらう

というブレイクダウンができるかもしれません。

このように世の中の目的は構造化されています。

例えば、セブン-イレブン・ジャパンの場合、
企業としての最上位目的は「お客様の心をつかむ」とされています。
理念としては素晴らしいのですが、
それだけではあまりに抽象的でわかりにくいですよね?

そこで、企業目的をブレイクダウンして、以下の4つに分解しています。
「品揃え」「クリンリネス」「鮮度管理」「フレンドリーサービス」
このレベルの目的が設定されると、行動のガイドラインになりそうです。

つまり、下位目的は、上位目的を達成するために有効な手段を
発見するためのガイドラインとしての働きを担っているのです。


【Step3】選択肢の創案

創案とは、目的を実現する手段を考えることです。
より良い意思決定のためには、複数の選択肢を持つことが必須です。

「素敵なデートで親密になる」ための手段として、選択肢を挙げます。
ここでは「デートにどこに行くか?」の選択肢を列挙してみました。

選択肢1「六本木の創作料理店I店」
選択肢2「天現寺の焼き肉屋K店」
選択肢3「広尾のゴルフバーHカントリー」
選択肢4「銀座のマジックバーJ店」
選択肢5「伊豆の隠れ家温泉S旅館」

いや、実はこれらは全部実在のスポットなんですけどね、、、大汗
実名を知りたい方は、是非コメントください(笑)。


今日はここまで。
さて、次回はいよいよ「最良案の決定」のテクニックをご紹介します。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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