「悪魔の代弁者」とは、なんとも忌まわしい表現だが、
どうやら、もとはカトリック用語だそうで、、、
その意味は、聖徒の候補者を検査する検事のことを指し、
それが転じて、
「何にでも批判する人」
「何にでも難癖をつける人」
をこう呼ぶようになったようです。
きっと、皆さんの周りにもいるでしょう?(^^)
でも、実はビジネスシーンなどで、悪魔の代弁者は
的確な意思決定に欠かせない存在でもあるのです。
■ 悪魔の代弁者はツライお仕事
合議制で意思決定することの多い日本の企業では、
なんとなくその場の雰囲気で「異議なし!」「決定!」と
なってしまうことが多いように思うのです。
しかし、完璧なプランなんてありませんよね?
常に、提案されたプランの弱点や問題点、リスクを見出し、
それを補い、修正し、見直しをかける、、、
そんな繰り返しが良いプランを生み出すのだと思います。
悪魔の代弁者は、プランをより強固なものに磨きあげる
重要な役割をになっているのですね〜。
しかし、なんとなく「異議なし」の空気が流れている時に、
悪魔の代弁者ひとりが「ちょっと待った〜」と、
流れを止めるのは勇気が必要です。
同時に、難癖をつけられた提案者にとってみれば、
決して良い気持ちにはなりませんよね。
「また、アイツがケチつけはじめたよ〜!」
とか、
「空気が読めないヤツだなぁ〜」
なんて言われてしまうかもしれません。
悪魔の代弁者は、重要な役割を担っている割には、
周りからは評価されにくいのかもしれません。
■ キューバ危機での出来事
1962年、ソ連がキューバに核ミサイルを配備したことで、
米ソの関係が強い緊張状態に陥った出来事。
当時の大統領、JFケネディは最終的に「海上封鎖」という
意思決定を下し、解決に導いたと言われています。
この意思決定に至るまでのプロセスで、
非常に重要な役割を担ったのが、
JFケネディの弟ロバートケネディだったと言われています。
彼は、国防総省、CIAなどの強硬な面々に臆することなく、
堂々と悪魔の代弁者を演じたという話を聞きました。
悪魔の代弁者を務めるには心の強さが必要ですね。
■ 悪魔の代弁者になるために、、、
そこで、悪魔の代弁者になるためのテクニックを3つほど、、、
(1)リーダーからの公開指名
そうです。明確に「悪魔の代弁者」の役割を担っていると
リーダーから公開指名してもらえれば、
堂々と悪魔の代弁者を演じることができそうですね。
あなたがリーダーの立場だったら、「悪魔の代弁者」を指名する、
メンバーの立場だったら、指名してもらうよう働き掛ける。
そうすることによって、
参加メンバーには、しっかり役割の必要性を理解してもらいましょう。
(2)複数で演じる
提案者サイドのメンバーが多い、声が大きい、権威があるなど、
悪魔の代弁者にとってパワーが必要な状況では、
なかなか問題指摘も取り上げてもらえないことが考えられます。
基本は、複数の悪魔の代弁者が相互補い合いたいものです。
(3)自分で「悪魔であること」を自白する
ここでは「悪魔」は悪いヤツではありません。
自分で悪魔であることを自白しちゃいましょう。
「敢えて、反論させていただくとするなら、、、」
「プランを良くするために、問題指摘をすると、、、」
言い方ひとつで、ポジティブに受け入れられる環境を
作り出すことは可能だと思います。
貴方は悪魔の代弁者になれますか?
それとも、天使の甘い囁きしかできませんか?
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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コメント
コメント一覧
違いはどこにあるでしょう。
評価される「悪魔の代弁者」になるには、実は普段からクリアエイティブな人である必要があるのではないかと思いました。
結局普段から評論家な人は、「また言ってる」と思われてしまいますから、指名や自白テクニックをもってしても、受け取る側のマイナスイメージは払拭できないだろうと思うのです。
評論家は、頭の回転が速くないとできないので、その点は舌を巻きますが、心情的にも納得したいとこちらは思いますね。
(完全に複数の個人名を思い浮かべながら書いてしまいました...)
粗方物事が決定して上から落とされても、その内容に問題・課題があった際、そのアウトプットした本人やその周辺に意見を述べても、それこそ“またイチャモン言われたよ”になりやすいのも事実です。
私も立場上意見を出す側なので、些細なことでも意見があれば出来るだけ耳を貸し、プランのより良い肉付けにしていければと思いました。
しかし・・・
Aさん→司会者(意見出しした人)
Bさん→賛同者
Cさん→悪魔の代弁者
の場合は、Aさんの立場ってかなり重く
(冷静な判断がなされるのか)
Aさん→上司
Bさん→部下
Cさん→第三者の悪魔の代弁者(この立場の人が正しい場合)
だと、AさんのBIZ遂行者としてのバランスが求められますよね。
Aさん→同僚(発言者→プランに課題)
Bさん→同僚(特に意見が無い人)
Cさん→同僚で悪魔の代弁者(正しい意見者)
となると、いよいよもってバランスが保てません。。。
悪魔の代弁、その本人も勇気を持って行動しないといけませんが、全体を俯瞰して意思決定できる最後の砦「天使の(甘くない)囁き」が重要かもしれませんね!
いつもコメントありがとうございます。
そうですね〜、マイナス面の指摘ですから、
聞き手のマインドを考えることは重要ですよね。
やはりコミュニケーションスキルにもかなり影響を受けるでしょう。
日ごろのバーバル、ノンバーバル両面のコミュニケーションによって、
受ける印象(マインド)はかなり変わってくるものと思われます。
そんなことも留意しながらコミュニケーションを取りたいものです。
Kay
いつもコメントありがとうございます。
「天使の(甘くない)囁き」ですか!
面白い表現ですね!
最終意思決定者は、客観的かつ批判的でありながら、
かつ組織への動機づけを考えるという難しい立場かもしれません。
しかし、Tさんは一流の「悪魔の代弁者」ですよね!笑
Kay