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いよいよ「ゼロサム交渉」の最後のテーマ、「駆け引きの技術」です。


■ 最後の手段「駆け引き」

ゼロサム交渉においては、どうしても「駆け引き」が必要な時もあるはずです。
冒頭では、「駆け引き」に頼るな!とは言ったものの、
現実の交渉では、どうしても駆け引き合戦になる可能性はあり、
そんなときのためにも「駆け引き術」も触れておきましょう。

以下は、心理学的なアプローチで論証している
「影響力の武器」からの抜粋を整理しました。


(1)返報性の法則

ヒトは与えられたら恩を返したいと感じるものです。
そんなことは「きれいごと」だ!と思われるかもしれませんが、
現実の多くの実験では効果が認められています。

前述の「譲歩は譲歩を引き出す材料」と論じたのも、
この返報性の法則を前提にしているとも考えられますね。
つまり、譲歩してもらったら、「何か返さなければ、、、」と
感じる気持ちを上手く使いたいものです。

男女の関係でも、
「優しくしてもらいたければ、優しくしろ!」
が原則ですよね!笑


(2)知覚のコントラスト その1

これは、一般に最初の行動や情報が、その後の知覚に影響を与えることを
活用した「駆け引き」です。

高い買い物をしたときに、相対的に安い買い物に対する抵抗は下がるものです。
例えば、5000万円の注文住宅を購入した時に、
「せっかくですから床暖房も入れたらいかがですか?」と勧められたとします。
当然価格は気になるものの、それが50万円だとしたら「ま、いいか!」と、、、

おいおい、50万円の買い物って、そんなに即決して良いのか?
と言いたくなりますが、買い手の気持ちなんてそんなもんです。

つまり、大きな価格での合意を見たら、
それに小さな交渉を付け加えて、より良い条件に誘導する、、、
そんな交渉シナリオも可能と言うことですね。


(3)知覚のコントラスト その2

また、別の事例、、、銀座のスウォッチビル。
スイスの高級時計ショップが入っています。

最上級ラインの展示している4階からワンフロアずつ降りて見てください。
最初の4階では目が飛び出るような価格帯の時計です。
3階に降りると、少し安くはなったものの「まだ高い!」。
でも、2階あたりにくると、「ん?ちょっと無理すれば手が届くかな?」
と感じてしまうんです。ホントは十分高いんですけどね、、、

逆に、地下1階(スウォッチ売り場)から見てしまうと、
全く異なった印象になるはずです。

これも「知覚のコントラスト」。
最初の切出しラインが高いと、そこから譲歩することで、
割安感を感じさせる効果がありそうです。

しかし、あまりに高い価格で切出すと、その場で交渉決裂!
ともなりかねないので要注意ですね!笑


(4)ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

これは、前述の「返報性の法則」と「知覚のコントラスト」を
組み合わせたテクニックと言えます。

売「高級なこの商品がお勧めです」
買「これは高すぎるよ(拒否!)」
売「じゃ、手ごろなこちらはいかがですか?」
買「これならいいかな(許容)」

この会話には、様々な示唆があります。
最初の拒否の時、買い手には「申し訳ないな」という気持ちが湧いています。
それにより、二回目のお薦めには、「何か返したい」という
返報性の法則が利いているわけですね。

また、同時に知覚のコントラストによって、
「今度の商品は安いな」という気持ちになりやすいわけです。

さらに、そこには買い手の最初の拒否によって、
「自分が相手を譲歩させた」という責任と満足の感情が生まれるとも言われています。


(5)コミットメントと一貫性保持の法則

ヒトは、矛盾した行動をとりたくないという気持ちを持っています。

私のセミナーを例にとれば、、、

家弓「私のセミナー、勉強になりましたか?」
学生「はーい!なりました!」

ここで、学生はすでにコミットメントしています。
したがって、以降それに矛盾する行動には抵抗があります。
そこを利用するなら、

家弓「それなら、また次回のセミナーにも来てね〜」
学生「はーい!来まーす!」

学生は一貫した行動として、またセミナーに来ることを約束します。

家弓「じゃぁ、ボクのDVDも買ってね〜」
学生「はーい!買いまーす」

、、、とうまくいけば良いのですが、、、笑
あっ、ちなみに私のDVDのご購入は、こちらです!笑
http://www.cyber-synapse.com/college/course/dvd/

ポイントは、しっかりコミットしてもらうこと。
他の人にも公にコミットしてもらうことで効果は上がります。


(6)フット・イン・ザ・ドア・テクニック

この「コミットメントと一貫性保持の法則」によって、
フット・イン・ザ・テクニックが有効と考えられます。

まず、最終的に合意したい条件を要求する前に、小さな要求から入ります。
そして、徐々に要求を高め、最終的には当初の目標となる条件を
要求し、合意を取り付けるテクニックです。

まず、最初は小規模な受注でも良いから、取引開始を目指し、
そこから、徐々に取引ボリュームを増やしていく、、、

営業なら、誰しも考えることですよね。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi

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