「ゼロサム交渉」のとき、良く考えておきたい重要なこととして、
「合意可能帯」と「譲歩」についてお話をします。
■ 合意可能帯のコントロール
交渉スタート時点では、買い手の防衛ラインと売り手の防衛ラインの間が
「合意可能帯」ということになりますね。
そこに、切出しラインや代替ラインが加わることによって、
合意可能帯が徐々に狭まり、最終的な合意ラインが見極められることになります。
しかし、買い手にとって、売り手がこれ以上値引かないという防衛ラインが
交渉の限界なのでしょうか?
売り手の強硬な主張で交渉が不調な時と言えども、
少しでも目標ラインには近づけたいものです。
そんな時には、売り手の防衛ラインを変えさせる努力も必要だと思うのです。
それには、3つの交渉シナリオが考えられますね。
(1)相手の成果に見出す価値のコントロール
売り手が強硬に防衛ラインを守る交渉力の背景には、
「商品価値」という切り札があるケースが多いでしょう。
「この物件は立地がいいから」とか「この自動車は人気車種だから」とか、、、
しかし、必ず弱みもあるはずですよね。
「この物件は近隣がうるさい」とか「この自動車は近々モデルチェンジする」など、
その商品に対する過大な評価を是正させることも可能なはずです。
(2)交渉の遅延、決裂の損失コントロール
交渉が遅延することによって、相手が被る損失をアピールしましょう。
「交渉が長引くと、金利負担もバカになりませんよね、、、」なんてかんじ。
それによって、早期に、確実に合意することのメリットを理解してもらい、
その時間短縮を条件に、相手の譲歩を引き出すことができるかもしれません。
■ 上手な譲歩の仕方
一方的な譲歩によって合意を取り付けるのは「愚の骨頂」。
しかし、上手な譲歩の活用は合意形成には強力な武器となるはずです。
(1)切出しには譲歩余地を持つ
そもそも譲歩は、相手の譲歩を引き出すための材料です。
と言うことは、あらかじめ譲歩することを前提として切出し価格を決め、
シナリオには、こんな交渉に陥ったら、こんな譲歩をしよう!
という譲歩シナリオを描いておきたいですね。
(2)譲歩のパッケージ化
その相手の譲歩を引き出すためのひとつの手段として、
この「譲歩のパッケージ化」が有効です。
つまり「あなたがAを譲歩してくれたら、私はBを譲歩します」
という交渉のやり方ですね。
前述の通り、譲歩は相手の譲歩を引き出す貴重な材料なのです。
(3)情報幅は徐々に縮める
買い手として、100万円の切出し価格を提示したのち、
「それじゃ、120万円までなら出しましょう」と譲歩したとします。
それでも、合意できなかった場合、次はいくらまで譲歩しますか?
じゃぁ、140万円!、、、ダメです。
譲歩幅を縮めなかったら、相手は「まだまだ行ける」と確信するだけです。
次は130万円、それでもだめなら135万円、、、
徐々に譲歩幅が縮まることによって、
交渉相手も「そろそろ限界かな?」を感じる効果も得られます。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi
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コメント
コメント一覧
我々のBIZでは交渉相手が人事や一般的部署であればHAPPYなのですが“購買・資材”の部署が絡みだすと、かなり悲しくなります(笑
そうですね〜。
まず、正当な相手と交渉の土俵に乗ることが、
スタートポイントとなりますが、
それもなかなか難しい環境になっているのかもしれませんね。
営業の最前線は、ますます難しくなっているんでしょうか?
Kay