■ シェアード交渉
シェアード交渉、これは私の造語ですが、
お互いに「お互いが価値を分け合うことを目指した交渉スタイル」です。
そこで、必要なのが「価値の相関関係」に注目することです。
「価値の相関関係」とは、、、
■ 価値の相関関係
交渉にあたる両者は、個別の利害項目に異なる価値観を
持っていることが多いものです。
事例で説明すると、、、
姉が買ってきたオレンジを、妹が欲しがったとしますね。
姉は頑としてオレンジを妹と分け合おうとしない、、、
つまり、そこには対立が起こっているわけです。
そこで、「Why?(何故、オレンジが欲しいのか?)」と問うことが必要です。
「Why?」
妹>「今日のオヤツに食べたい!」
姉>「ケーキ作りに皮を使う!」
つまり、妹は「果実」を欲しがっているのに対して、
姉は「皮」を使いたいと思っている。
つまり、そこには「オレンジに対する異なる価値観」が発見できるわけです。
対立は、解消ですね!
■ 取引変数分析
つまり、シェアード交渉において、解決のカギとなるのは、
取引変数、つまり個別の利害項目を列挙して、
それぞれに対する双方の欲求のGAPを見出すことがポイントです。
そのために、まず「取引変数分析」を行いましょう。
前述の例なら、オレンジには「果実」と「皮」という取引変数があります。
それぞれに対する欲求が異なれば、解決の糸口になりますよね。
< オレンジの取引変数 >
一般の売買交渉でも、取引変数があります。
< 売買取引の取引変数>
「価格」を重視する買い手と「関係性」を重視する売り手が交渉すれば、
「価格を下げても、関係を構築する」という結果で合意できるはずです。
でも、さらに考えれば、取引変数はこの2つだけではないので、
売り手は、もう少し交渉の余地が出てくるはずです。
そこには「価値」という変数もあり、
「価格は下げるが、納期は少し余裕を見てほしい」
といった条件を付けることは可能かもしれないのです。
■ コストと価値のGAP
もうひとつのGAPに着目することも必要です。
それが、「コストと価値のGAP」です。
自社にとっては、小さなコストでも、
相手にとっては、大きな価値を持つことがあるんです。
-------- 【事例】 ゴルフ場のプロモーション --------
ゴルフ場のプロモーション施策として、「友の会」を売り出したとします。
年会費5万円で、1年間いつでも5000円割引でプレイできるという制度です。
単純計算すれば、10回行けばモトがとれるはずですね。
しかし、年10回ぐらいしかプレイしない顧客にとっては、
あまりメリットを感じられません。
そこで、ゴルフ場は「駅からの送迎バスサービス(通常2000円)」を
毎回無料で利用できる権利をつけると申し出たとします。
そうすれば、10回行けば、
5万円(5000円×10回)+2万円(2000円×10回)
で、7万円の価値があることになり、お得感が生まれますね。
一方、ゴルフ場側としては、送迎バスはいつも走らせており、
とくに、このサービスを実施してもコストアップにはつながりません。
つまり、ゴルフ場はコストをかけずに、
顧客に2万円の価値を提供できることになります。
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これが、コストと価値のGAPです。
こんなGAPをうまく利用して交渉にあたると、
うまく合意を引き出せるかもしれません。
しかし、これですべての交渉がうまくいくのでしょうか?
あるポイントを超えると、どうしても相手を犠牲にしなければ、
満足を得られなくなる領域があるように思います。
その場合に限って、「ゼロサム交渉」を考慮に入れる必要がありますね。
いよいよ泥臭い交渉事になってきました。
「プラスサム交渉」これは理想。
しかし、「シェアード交渉」が有効な場面もある!
でも、最後は「ゼロサム交渉」も必要だ、、、
これが交渉の現実だと思うのです。
また、「ゼロサム交渉」については、次回をお楽しみに、、、
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi
【関連エントリー】
・交渉に使える6つの駆け引き技術
・合意可能帯と譲歩のしかた
・ゼロサム交渉は最後の手段
・Win-Winを実現するプラスサム交渉とは?
・4つの交渉スタイルとは?
・あなたは「交渉」を誤解している?
コメント
コメント一覧
大変難しい話が多いのですが、ブログ楽しみにさせてもらってます。読んでいるとなにか頭が良くなった気がするので(気のせいでしょうが、笑)
>ゴルフ場のプロおーション政策として、「友の会」を売り出したとします。
ゴルフ場のプロモーション企画として、「友の会」を売り出したとします。
ではないかと感じました。モがおになっていた事はさておき、ゴルフ場等の場合は民間での話になるわけですから、政策と言うよりも企画と呼ぶのではないだろうか?と気になったので質問を兼ねて投稿させていただきました。
>>MCT026さん
「プロおーション政策」は「プロモーション施策」の打ち間違いだと思いますよ〜
コストと価値のGAP、これ大事ですね!!
コストをかけたからといって、顧客が価値を感じてくれなければ無意味だし(汗)
「コストと価値」はお金だけじゃないってのもポイントですよね。時間とか手間とか色々。
どうしても価格競争が激しいと価格に目がいってしまいますが!
いや、面目ありません。
完全なタイプミスで、、、汗、汗、
ご指摘、どうもありがとうございました。
「価格」って麻薬だと思うのです。
譲歩するには一番手軽で効果も期待できる。。。
しかし、それに頼ってしまうのは、
交渉としてはあまりにも安易ですよね。
ま、私も決してヒトの事は言えません。
自らを戒めたいと思っています。
Kay