「交渉」を、対立する相手を攻撃するというスタンスではなく、
交渉相手と手を組んで、ともに「課題、問題」を攻撃することを目指す
これが、「プラスサム交渉」です。

■ プラスサム交渉

例えば、XとYの間での交渉の場合、
一般には、その利害が対立する「Z1」の奪い合いになります。
このスタイルを「ゼロサム交渉」と呼びます。

「プラスサム交渉」は、この「Z1」を超える「Z2」を創造することを目指し、
その解決策を両者がチカラを合わせて考えるスタイルです。

これによって、仮にYが「Z1」を失っても、「Z2」を獲得できれば、
双方ともに満足に至ることができるはずですよね。


 <プラスサム交渉の概念>

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この「Z2」のことを「BATNA(バトナ)」と呼びます。

BATNA
 = Best Alternative to a Negotiated Agreement(最善の代替策)


■ 【事例】自治体と工場の交渉

自治体が「税法案」を検討しているとします。
当然、対象となる工場は、それに反発しますよね。
この「対立」から交渉が始まることになります。

この交渉を「プラスサム交渉」で臨むとしたら、何から考えますか?

まず、重要なのは「双方の真の目的」です。

一般的に考えれば、

 自治体の目的 : 財政改善
 工場の目的   : 収益向上

となるでしょう。

その解決策としては、双方の目的を達成するためには、
そもそもその地域における経済活動が活性化すれば良いわけですよ。

そのためには、もし可能なら工場は生産ラインを増設し、
雇用を増やし、それが地域経済の活性化につながる、、、
という良循環を創り出せば、双方Happyですね!

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つまり、一見対立するように見えても、双方の本質的目的を熟慮すれば、
共通する目的が見えてくるわけです。

まずは、共通目的を発見する。これが「プラスサム交渉」の基本です。


< プラスサム交渉の一般的プロセス >

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しかし、
 「プラスサム交渉は理想だけど、、、」
 「そう簡単にBATNAを作れるもんじゃない、、、」
なんて声が聞こえてきそうです。


そうなんです。
私も、交渉学の文献を読み続けているうちに、このプラスサム交渉は、
理解はできるものの、そんなきれいごとだけでは実務では通用しない、、、
という印象を持ちました。

そこで、次の「シェアード交渉」というスタイルが必要となります。
ちなみに、このシェアード交渉という言葉は、家弓の造語です。
(あまり、オフィシャルな場では使用を控えましょう!笑)

次回は、シェアード交渉について考えてみます。
 


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi


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