「交渉」は、その時の状況、目的に応じて、
大まかに4つのスタイルに分類できそうです。
「二重考慮モデル」というフレームワークを使って、
分類したものが下記に示す考え方です。
< 二重考慮モデル >
二重考慮モデルとは、「交渉相手との重要度」と「交渉成果の重要度」
という軸を用いた四象限マトリクスです。
これで、大まかに交渉の目的を明確にできます。
■ 現状維持、無活動
重要な取引ではないため、敢えて交渉に臨まない
■ 利益重視、闘争型交渉
当該交渉による利益を重視し、闘争で利を勝ち取る
■ 関係重視、譲歩・従順型交渉
相手との関係性を重視し、譲歩によって合意を得る
■ 戦略的関係、問題解決型交渉
双方の問題を解決し、Win-Winの成果を追求する
(1)現状維持、無活動
無活動型交渉とは、そもそも交渉しない方が良い場合もあるということ。
具体的には、関係も利もそれほど重要ではないので、
交渉に関わるコストやエネルギー、時間すらもったいないというケース。
例えば、急いで移動している時、ちょっとタクシーが遠回りをしたからと言って、
そのタクシー代の値引き交渉をしているヒマはないですよね?
あるいは、相手が不誠実、不道徳、非論理な場合も、
建設的な交渉にはなりにくいため、そのエネルギーを節約すべきなんです。
どう考えても、交渉相手がまともに交渉する姿勢を見せない、
あまりに、理不尽な交渉に持ち込もうとしている、などなど。
(2)利益重視、闘争型交渉
(3)関係重視、譲歩・従順型交渉
この2つは、対照的なケースですが、重視しているポイントと
さほど重視していないポイントが明確という意味では共通しています。
そういう意味では、重視ポイントのみを達成し、非重視ポイントを犠牲にする
という目標が容易いですね。
しかし、そんな安易に走るのは、必ずしも賢い交渉とは言えないと思うのです。
利益重視と言っても、必ずしも関係性を犠牲にする必要はありません。
同様に、関係重視の場合も、一方的に譲歩ばかりしているのは、
あまり上手な交渉とは言えませんね。
(4)戦略的関係、問題解決型交渉に持ち込む!
つまり、関係性と実利は決して両立しないわけではないはずです。
この2つを分離して考え、本質的な解決を目指して、
戦略的関係、問題解決型交渉スタイルに持ち込むことを目指すべきなんです。
この問題解決型交渉スタイルを、ここでは「プラスサム交渉」と呼びます。
次回は、このプラスサム交渉の概要とそのプロセスについて言及します。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi
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