ビジネスシーンにおいて、様々な相手と交渉することって多いですよね。
それは、お客様であったり、取引先、社内他部門であったりと、、、
日本においては、交渉学というものはあまり普及していませんが、
米国のMBAでは、かなり研究が進んでいるようです。
そこで、いわゆる学術的に研究されている理論体系と、
家弓なりの実践的体験を融合して、「交渉学の理論と実践」を考えてみます。
■ 交渉とは何か?
まず、交渉の本質を考えるにあたり、前提となる交渉の定義をしておきます。
交渉とは、、、
「対立する利害を調整し、自らの“利”を勝ち取るための一連のプロセス」
と考えてみましょう。
しかし、交渉シーンには「2つのジレンマ」が起こります。
(1)正直さのジレンマ
相手にどれだけ正直に話すか?
(2)信頼のジレンマ
相手の言うことをどれだけ信じるか?
つまり、交渉にあたって、双方が猜疑心をいっぱい持っているものです。
これが「対立」していることが生み出すマイナス効果です。
そのほかにも、対立のマイナス効果はたくさんあります。
・誤解、先入観
対立する相手には、最初からマイナスの印象を持ちがちですよね。
「どうせ無理な値引き交渉するんだろう」とか、、、
そもそもそんな誤解や先入観を持っていたら、
良い交渉になるはずもありませんね。
・情動性
感情的になってしまうことも多いようです。
最初から、自分にとっては「敵」と考えていては、
どうしても感情が前に出やすいものです。
結果、冷静な判断力を失いやすいものです。
・コミュニケーションの希薄化
また、「敵」とは仲良く、話もしたくありません。
上記の「情動性」にも関わりますが、
どうしても、密なコミュニケーションをとりにくいものです。
・論点ボケ
本来、議論すべき本質よりも、細かな重箱の隅を
つつくような論点に議論が発展しやすいものです。
細かな争点でも「負けてなるものか!」なんてね、、、
・思考の硬直化
その結果、どうしても自説にこだわりがちです。
自分の考えを曲げたくない、それは「負け」を意味するから、、、
交渉は、もっと柔軟な考え方を持つべきだと思うのです。
・相違点の誇張、共有点の矮小化
そして、上記の結果がもたらすものは、対立する相違点が誇張され、
ますます対立関係は深まっていく、、、
また、共有点が多々あったとしても、それは矮小化されていくものです。
これらの結果は、ますます対立を拡大させるだけで、
交渉を困難にしていくことになってしまいます。
このように、交渉を「対立」という前提で考えると、
とても合意に導くことが困難であるということがわかりますね。
ということで、「交渉」の考え方を対立の概念から脱却させ、
新たに定義する必要があることがわかります。
そこで再度、「交渉」の定義をし直してみましょう。
そもそも、交渉とは、、、
「双方の正当な要望を可能な限り満足させ、
対立する利害を公平に調整し、
時間が経っても効力を失わず、
双方の利益を考慮に入れた問題解決」
と考えてみるところから、合意の糸口を発見することができるかもしれません。
以降、交渉について、様々なスタイルと方法を考えていきたいと思います。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi
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