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 本稿は「営業革新」の最終稿として、Kolbの経験学習モデルを使って、
これまで描いてきた営業プロセスを組織のナレッジとして、
学習、定着させるプロセスについて考えてみます。


■ Kolbの経験学習モデル

組織学習のモデルとして「Kolbの経験学習モデル」が有名です。
これは、経験による学習は大まかな学習プロセスとしては、
以下の4つを循環して学習が深まっていくという考え方です。


    ┏━  具体的経験  ━┓

  積極的な           観察と
   実践             振り返り

    ┗━  抽象的概念化  ━┛


(1)具体的経験

学習のためには、まず経験を積むことが必要とされています。
ま、当たり前といえば当たり前なんですが、、、汗

ということで、まずは行動に起こしてみる!ということ。
あまりに単純ですが、学習には必要なプロセスです。
本稿のモデルにあてはめるなら、「営業プロセスのマネジメント」で述べたような
「社内テレアポコンテスト」といったゲーム仕立てのインナープロモーションで、
メンバーに行動を起こさせることも必要です。

それに加えて、マネジャーが「具体的にこんな事やってみたら?」などと
うまく行動を促すサポートが得られるといいですね。


(2)観察と振り返り

そして、それを振り返る機会が必要となります。
実際に起こした行動から、成果を上げるために有効だと思われる要素を考えます。

このプロセスでは、マネジャーの役割が大きいですね。
経験の浅いセールスパーソンだと、ひとりで成功の法則を考えるのは困難ですから、
是非、マネジャーが対話を通じてうまく成功パターンを理解させるとよいでしょう。

そのためには、マネジャーによる1対1のコミュニケーション、コーチングなどを
きめ細かく実施することが有効だと思われます。

しかし、ここでマネジャーのコーチングスキルが問われます。
企業としては、マネジャーに部下にコーチングすることを
明確なミッションとして掲げる必要があると思われます。


(3)抽象的概念化

そして、経験で学んだことを、汎用的なモデルに抽象化します。
つまり、A君が行った成功パターンを、他のメンバーも使えるように、
モデルとして可視化、形式知化するわけですね。

その成功のノウハウは、マニュアルという姿になるかもしれないし、
成功事例というドキュメントになるかもしれません。
ここで重要なのは、個人のナレッジがここで組織共有されるところにあります。

共有のしくみとしては、営業ミーティング、マニュアル、社内報など、
様々な手法があると思いますが、ここは組織カルチャーに馴染みやすいやり方を
選んで、しっかり組織に浸透させる努力が必要です。

場合によっては、このプロセスをプロジェクトチーム化して、
成功モデルを構築することも有効だと思われます。

一般にトップセールスの成功事例をもとにして、モデル化を図ることが有効ですが、
トップセールスは意外と自分のノウハウを可視化したり、
ヒトに論理的に伝えることが苦手であったりします。

そこを客観的な立場で、ベストプラクティスとして分析し、
汎用的なモデルにするのは、論理力に優れたスタッフや外部コンサルタントを
活用するのも一手ではないかと思うのです。


(4)積極的な実践

そこで、組織学習したナレッジは、即実行に移してみる、
そのトライアルが「積極的な実践」のプロセスです。

ここでもインナープロモーションの活動は大切ですね。
せっかく共有されたナレッジも、実行されなければ意味がありません。


Kolbの経験学習モデルによれば、
上記の4つのプロセスのサイクルを回すことで、
組織は「営業プロセスのナレッジ」を学習するはずです。

おそらくトップセールス以外、特に経験の浅いセールスパーソンには、
学習効果は大きく生まれるはずです。
そんな「型」を覚えて、そこから自分の個性を生かしたオリジナルモデルを
見出していくことで、ハイパフォーマーへ進化していくことでしょう。

これはまさに、能楽を確立した世阿弥の教えで「守破離」。
つまり、まずは基本型を忠実に守り、やがてそれを破って応用する、
さらに、最初の型から離れ、己のスタイルを確立していく、、、
そんなセールスの進化を見届けたいものです。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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