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いよいよ「質問するチカラ」の最終回です。
今回は、質問シーンにおけるリスクについて考えてみます。


■ リスク(1)「話したくない!」

論点によっては、回答者が「話したくない」と思われてしまうものがあります。
私の経験では、企業ヒアリングで定量的な情報については、
なかなかストレートに答えてもらえませんね。

あらゆる切り口から大体の目安をつける、、、
そんなアプローチが現実的かもしれません。

(例)「誤配送は何%起こっているか?」

 → どれくらい誤配が起こりますか?(もろストレート)
 → 一般にはどれくらいが標準ですか?(一般化)
 → 目標としては、どれくらいを目指していますか?(目標)
 → 週に一回程度は起こるものでしょうか?(基準提示)

ま、これでも探れないことはありますけど、、、(汗)


■ リスク(2)「話したくて仕方ない」

これはオーバーステートメントと言われる現象です。
長々と話しこんでしまう回答者、しかも論点を外した話が延々続く、、、
こうなったら大変です。貴重なヒアリング時間を浪費することになります。

とは言え、せっかく気持ちよく話しているのに、
途中で遮ったら、気分を害してしまうのでは?
といった「恐怖感」が先に立ちます。

で、そんな時は一旦話に同調して、クチを差し挟みましょう。
「そうそう、まさにおっしゃる通りですよね!」
と、思い切り同調すれば、気分を害することもありません。
そして、すかさず論点を軌道修正してくださいね。


■ 仮説が危うい時

仮説を立てることが「質の高い質問」を可能にします。
しかし、質問をしているうちに、「仮説が間違っているかもしれない」と
感じられる時は、、、冷や汗ものですね〜

そんな時、まず行ってほしいのは、
即座に仮説をあきらめるのではなく、
本当に仮説が間違っていたのか?を確認することが必要です。

(受容)「確かにそうかもしれませんね〜」
(探求)「でも、こんな可能性はありませんか?」

と、一旦相手の言うことを受容しておいて、自分の仮説を確認してください。


あるいは、メタモデルで言う「歪曲」が起こっていないか?を確認することも有効です。

(Step1)まず、歪曲が起こる原因仮説を立てて、それを確認する。
     前提、立場、背景など歪曲を生む原因が存在していないか?

(Step2)仮定法を用いて、歪曲を生む原因を排除して問いかける。
     「仮に〜の立場だったら」「仮に〜だったら」


さらに、仮説に誘導してみよう。

ソクラテスは連続質問法という手法で、自説を優位に進めていたと言われます。

ソクラテスは「嘘をつくことは悪か?」と問いかけたのに対し、
相手は「悪である」と返したとします。

その相手に「友人に薬を飲ませるためにつく嘘は悪か?」と連続質問をすることで、
相手から「悪ではない」という回答を引き出したとされます。

これを「自説に誘導する」ために使えると思うのです。

仮説「その商品は顧客のニーズにこたえていない」
 ↓But.
顧客「その商品は素晴らしい!」

ここで、仮説は崩れ、心が折れそうになりますよね?
仮に、気持ちを取り直しても、「本当に?」とか「絶対?」なんて聞いちゃいけません。

ここで有効なのが、連続質問です。

「なぜそう思うのですか?」「具体的な根拠は何ですか?」
「他の商品と比べて、どこが優れているのでしょうか?」
「そうでないと思っている人はいませんか?」
「もっと良くするとしたら、どこを改良しますか?」
「そもそも良い商品とはどういう商品ですか?」

こういった連続質問で、歪曲や一般化が潜んでいないか確かめてみましょう。


■ 誘導尋問と誤導尋問

誘導尋問、よくTVドラマの裁判シーンで「それは誘導尋問です!」とかやってますよね。
そう、一定の回答を暗示して行うクローズドクエスチョンです。

誘導尋問「貴方が被害者を殺したんですか?」

それに対し、誤導尋問は、重要な前提を省略して行う質問です。

誤導尋問「貴方が被害者を殺した時に、ナイフを使いましたか?」

これは、被告がまだ「殺した」と言っていないにも関わらず、
「殺したこと」を前提として質問をしています。

ま、仮説に誘導するひとつの手段として使えないこともないのですが、
これは、それこそ事実を歪めて、仮説に誤導してしまうリスクがあるので、
慎重に使わなければなりませんね〜


■ それでも仮説が崩れたら、、、

いや、ここまで来て仮説が崩れてしまっては、もうどうにもなりません。
むしろそんなリスクがあると感じたら、
事前に仮説のセカンドプションを考えておくべきですね。
場合によっては、サードオプションまで考えておくこともありますよ。

あるいは、「その場ヂカラ」で対処するという方法もあります。
もう一度、事実情報を整理して、イシューツリーを立て直し、
仮説を構築して、質問をやり直す、、、

ちょっとタフな作業になりますが、、、(汗)


■ 4つのスキル

総じて、この「質問するチカラ」を高めるためには、
4つの基礎スキルが必要になると考えられます。

(1)ロジカルシンキング(Logical Thinking)
  自分の頭のなかで、目的をイシューを論理的に組み立てるチカラ

(2)ロジカルスピーキング(Logical Speaking)
  自分の意図を、相手に先入観なく、分かりやすく伝えるチカラ

(3)ロジカルリスニング(Logical Listening)
  相手の話を理解、解釈し、さらに話の展開を組み立てるチカラ

(4)コラボレーション(Collaboration)
  お互いの考えを交換、共有しならが、共に考え、共に創造するチカラ


「質問するチカラ」は、ビジネスに必須のスキルです。
皆さんも、日ごろの質問にちょっとした意識変革を加えて、
地道に質問スキルを鍛えていきませんか?



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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