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某経営大学院でMBA教授を務めさせてもらっています。
コンサルティングに加えて、「教える」ことを生業としてもう13年ほどになります。
これは、私にとって「教える技術」を学ぶ貴重な場でした。
また、マーケティング理論体系を自分なりの解釈として深化し、
私自身のコンサルティングのスタイルにも大きな変化をもたらすことができました。
おそらく、教える立場にたつことによって、一番勉強になったのは私自身ですね。(^^)
ま、それはさておき、そもそもMBAで学ぶものは何なのか?
あくまで、家弓なりの解釈で整理してみました。
経営理論? ビジョンや志? 人的ネットワーク?
もちろん、それをひとことで表すことは無意味かもしれません。
しかし、私が最近強く感じるのは「決めるということ(意思決定)」だと思うのです。
MBAのクラスは基本ケースメソッドを用いています。
そのケースのなかで、意思決定権者になりかわって、
情報を整理、分析し、最終意思決定を行うという「経営の疑似体験」を行っていただきます。
実は、決めるということは、非常に苦しい仕事だと思うのですね。
「あちらを立てれば、こちらが立たず」といったトレードオフの関係のなかで、
経営トップの理念とビジョンを持って、判断基準を明確にして意思決定する。
そして、それを組織に浸透させ、実行に移す、、、
いやぁ、苦しくて大変な仕事ですよね。
MBAの受講生の傾向として、
最初のうちは、どうしても意思決定に際し、腰が引けています。
そこで、よくこんな発言が飛び出します。
「例えば、こんな戦略も打てます」 とか、、、
「ひとつは、こんな戦略が考えられます」 など、、、
これじゃ、まるで経営評論家。
経営トップの意思決定権者の発言じゃないですよね?
もちろん、社内に問題提起する目的としては、
こういった「投げ掛け」も有効かもしれないと思うのですが、
あくまで、意思を持った経営者は「この戦略で行こう!」と
力強く組織をまとめていくチカラが必要だと思うのです。
そんな意思決定のチカラを、是非MBAで習得してもらいたいんです。
そんな主旨から、私のMBAクラスでは、「例えば」という言葉を禁止しています。
極端なやり方だとは思っていますが、
・「例えば」は、経営者として意思決定していない
・それどころか、「例えば」を示すことで、相手に解釈を委ねている
・つまり、自分の発言に責任を負っていない
・トップなら、主張の本質を示すことが不可欠
・「例え話」は、あくまで理解を促すための解説にすぎない
・よって、このクラスでは「例えば」を禁止とする。。。(^^)
こんな説明をきちんと事前にしておけば、概ね理解いただけているようです。
でも、そんな話をした直後から
「例えば〜、、、」なんて話し始めちゃう受講生の方、必ずいるんですよ。
その瞬間、クラスは一度固まって、次は爆笑!
その後に、ようやく本人が「例えば」を使ったことに気がついて、
照れ笑いをしながら、頭をポリポリする。
これは授業のアイスブレイクになって、実は有難いんですけどね。。。笑
一回のクラス(約3時間)のあいだに、大体2〜3回の「例えば」が飛び出します。
いかに普段のビジネスシーンで「例えば」を使いまくっているかがうかがわれます。
もちろん適切なシーンでは、全く問題ないわけですが、必ずしもそうでもないようです。
みなさんは、解釈をヒトに委ねていませんか?
ご自身の主張の本質を的確に表現できていますか?
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
Twitter : http://twitter.com/Kayumi
Tumblr : http://kayumi.tumblr.com/
コメント
コメント一覧
新しい視点を与えて頂いた気がします。
家弓さんから色々と学べる機会を模索中です。
ご縁がございましたらよろしくお願い致します。
MBAを取得したものとしての意見は、非常に共感します。
私の場合は米国で取得しましたが、ビジネススクールは、覚えるというよりは体得するっていう感じでした。
米国では、正解をたまに言うヒトより、とにかく発言するヒトを尊敬します。
これはクラスへの貢献度が高いからでした。
それは一例ですが、結局自分で決断すること。
経営サイドに立つと決断が一番のミッションになるからだと思います。
ボクはMBAで決断のためのツールを習得しましたが、それ以上に決断にいたるまでの交渉力やチームのモチベーションの上げかたも同時に”体得できた”と思っています。
コメントをいただき、どうもありがとうございます。
そう言っていただけると大変うれしく思います。
どれだけ池永さんのご期待に添えるかわかりませんが、
今後とも、どうぞよろしくお願いしますね〜
Kay
いつもお世話になっています。
> twitterで発見して早速コメントを書かせていただきます。
Twitter、やはりブログとの相性は良いようで、、、(^^)
> MBAを取得したものとしての意見は、非常に共感します。
ありがとうございます。
私はMBAホルダーではないので、
受講生の本当の気持ちはわかっていないかもしれません。
しかし、こうやって同意していただけると安心しますね。
体得、まさにその通りだと思います。
もちろん覚えることも沢山あると思いますが、
多くは、身体で感じ取ることが重要だと思います。
また、チームワークやモチベーションマネジメントなどなど
通常の学校教育とはちょっと異なるMBAならでは学べるところは沢山ありますよね。
Kay
個人的に思うこととしてですが・・・
どこかのチームがディスカッションした内容について「うちのチームでは○○について意見が出ましたが、そのことについて考えませんでしたか?」という質問もNGにしてもらいたいです。。。
答えは、2つしかないと思います。
・考えなかった
・考えたけど発表するに値しないと落とした
それが議論の本質ならその突っ込みは重要でしょうが、往々にしてそういうことはなく、「うちはこんなことを考えたんだぜ」って自慢なの?としか思えないのでしらけてしまいます。。。
これは3年間を通して感じたことです。
コメントありがとうございます。
確かにおっしゃる通りです。
で、最近は、、、
「その質問の背景にある主張は何ですか?」
と切り返すこともあります。
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我々はこの論点が重要だと思った。
なぜならば、こんな経営インパクトがあるからだ。
それについては重要と考えなかったのか?
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といった建設的問題提起になるなら良いんですよね〜
Kay
コミットメントとオーナーシップによる「決断力」、大事ですねぇ。
経営力=先見力×分析力×決断力
という勝手に定義した公式の中で、自身の周囲にいたMBAホルダーがカバーしていたのは「分析力」かなと“体感”してます。^^;
コトバ遊びかもしれませんが、「MBA」の「A」はAdministrationなので、そもそも経営=Managementとは目的が異なるのかなと。
あと、以前、Twitterで見かけたつぶやきが腑に落ちたことを思い出しました。
・経営学≠経営
・経済学≠経済
・社会学≠社会
・心理学≠心理
Twitterから、ようこそ!!(^^)
> 経営力=先見力×分析力×決断力
おぉ、なかなか面白い公式ですね。
で、MBAホルダーが「分析力」に長けているというのも、うなずけるところです。
これからは、「もっと視座を高める」ことが求められそうです。
> ・経営学≠経営
> ・経済学≠経済
> ・社会学≠社会
> ・心理学≠心理
おっしゃる通りです。
経営コンサルタントが企業経営しても、うまく行くとは限りません。笑
ということで、「経営技術、手法≠経営」でもありませんよね、、、汗
事業経営とは、難しいものです。
Kay
あと
”発言はシンプルショート攻撃”
えー意思決定は大変ですが
物理的に追い込まれるとできます。
(ようは次から次へ意思決定課題が
来るのでパッパとやらないと仕事が
終わらない)
意思決定したあと、きっちり
他のメンバーに動いてもらうのが
結構知恵と準備がいりますね。
(ここらへんはMBAでは教えてもらえないっす)
私の実体験からきていますが、
結局、一般論でおもしろくないですねー。。。
おっしゃるとおり、リーダーには組織(メンバー)を動かす!
という重要な役割があります。
このあたり、現実にはかなり人間力に依存する部分が大きいですから、
MBAでは教えられないことが沢山あると思います。
でも、MBAにてその人間力を高めることもチャレンジできるのではないかと、、、
もっとも、人間力を高めるのチャレンジは、MBAに限りませんけどね、、、(^^;
Kay