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最近、松田聖子中島みゆきが登場する化粧品のTVCMを
よく目にするようになりましたね。


富士フイルム「アスタリフト」です。
フイルムメーカーが化粧品?
誰しもが「?」を感じますよね?

でも、そこには必然性があるようです。
もちろん、富士フイルムも消費者がそんな疑問を持つことは想定内でしょう。
ちゃんと、公式サイトで説明してくれています。

【ご参照】http://www.ffhc.jp/about/whyff.html

そうなんですね〜
フイルムの技術は「コラーゲン」の研究から成り立っており、
なんと70年もの間、研究を続けているとのことです。
(、、、って私もはじめて知ったのですが、、、)

まさに「技術シナジー(相乗効果)」が期待できる領域だったんですね。


ここで、多角化について考えて見ましょう。

アンゾフという戦略研究者が「成長マトリクス(アンゾフのマトリクス)」
なるものを提唱しました。

企業の成長のベクトルを、市場軸と製品軸で切ったマトリクスです。

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既存市場/新規市場 × 既存製品/新規製品
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というマトリクスです。

このマトリクスで4つの成長の方向性を見出すことができます。


■ 市場浸透(既存市場 × 既存製品)

これは、既存のビジネスの枠組みで成長を目指す戦略です。
一般に、他社の市場を奪って、市場シェアを高めることを目指すか?
市場規模そのものを増加させる「市場拡大」を目指すか?
という2つの方向性が考えられます。


■ 製品開発(既存市場 × 新規製品)

これは、既に参入している市場の顧客セグメントに対して、
未だ提供できていない新たな製品を開発し、提供していこうと言うもの。

この製品開発は市場シナジーを活用した成長戦略です。
既存市場の顧客には様々なニーズがあるはずです。
それをビジネスチャンスとして、製品提供していくことは、
既存顧客にとってもワンストップサービスとしての価値を有するでしょう。


■ 市場開拓(新規市場 × 既存製品)

市場開拓は既存の取扱商品を、新たな市場セグメントに展開する戦略です。
シナジーという観点で見れば、これは製品シナジーを活用しています。

例えば、国内向けにのみ販売展開していた企業が、輸出に取り組む、
といった成長機会を見据えた展開が考えられます。


■ 多角化(新規市場 × 新規製品)

これが全くの新規事業というイメージですね。
これまでの成長戦略のように、市場シナジーも、製品シナジーもありません。

新規×新規となってしまっては、どんなビジネスでもこの枠組みに入ってしまいそうです。
もちろん、どんな新規事業でも挙げれば良いというものではありません。
成功確率を考えるなら、そこに何らかのシナジーは必要です。
ここで検討すべきシナジーは、市場、製品以外の経営資源です。
自社の強みとなる経営資源のシナジー効果が期待できる事業を検討することになるはずです。

富士フイルムのアスタリフトは、「コラーゲンに関わる研究」という経営資源を
活用した新規事業展開というわけですね。


一見、関連性のない事業展開でも、その背景にある基礎技術が活用できるビジネスが
いろいろあるはずです。
以前、花王フロッピーディスク事業を展開しましたね。
これも、花王の持つ「界面活性技術」が活用できる事業だったと言われています。

自社技術を見つめなおすと、新たな製品機会や市場機会を創出できるかもしれません。
こんな不況期だからこそ、視点を切り替えて、
新たなチャレンジに取り組むことも重要なタイミングかもしれません。


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦