ハンバーガーチェーンの大手二社の決算発表がなされましたね。
結果として、
マクドナルドは売上高を伸ばし、すかいらーくを抜いて飲食業の頂点に立ちました。
飲食業売上高、マクドナルド首位 日経調査
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090513AT1D120CQ12052009.html
一方、モスバーガーは、期初の赤字予想を覆し、
5億5200万円の最終黒字になったと、、、
モスフード3月連結、期初の最終赤字予想を覆して5億5200万円の最終黒字に
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090512/1026104/
ま、何かとよく比較される2社ですが、
戦略としては、明らかに対極にあると言われています。
マクドナルドは、何と言っても「価格」と「利便性」が売りでしょう。
一方、モスは「味」訴求ですよね。。。
改めて、両社の戦略を整理してみます。
■ マクドナルドの戦略
基本的には、徹底した利便性の高い立地に出店してきたのが特徴。
私も、たまにマクドナルドは利用しますが、
時間のない時に、駅前の大変便利な場所に立地しているのは、大きな魅力です。
出店には、利便性を最大に重視しているため、おそらく出店コスト(賃料)には、
大きな投資を余儀なくされていることと思います。
しかし、何と言ってもマクドナルドの強さは「コスト競争力」にあるでしょう。
100円バーガーを出しても、しっかり利益を叩き出せるコスト体質は、
他社にはマネの出来ない同社ならではの競争優位性です。
それを支える仕組みとしては、調理などを中心とした
店舗オペレーションを徹底的に標準化するための「マクドナルドマニュアル」。
これにより低廉な労働力である「学生アルバイト」を徹底活用するしくみが、
同社の低コスト体質を創出していると思われます。
しかし、以前私がマクドナルドにインタビューしたときに、
「マクドナルドマニュアルなんて、どこにでもあるマニュアルですよ。
欲しければ、一部差し上げます。秘密でもなんでもありません。
私たちが優れているのは、それを現場に定着させるしかけです。
これは、そう簡単にマネすることはできません。」
担当の方は、胸を張っておっしゃっていたのが印象的です。
確かに単にアルバイトを使えばコスト競争力が生まれるわけではありませんね。
アルバイトが生産性を上げるために、様々なモチベーション管理がなされています。
「オールジャパンクルーコンテスト(略してAJCC)」と呼ばれる
アルバイトの技量を争う全国大会が開催されています。
優勝を狙って、かなり熱く戦うようですね〜。
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2008/company/20080625.html
また、コスト競争力については、世界レベルで原材料調達を行っているという
「ワールドワード調達」という仕組みも有名です。
やはり規模の経済性によって、調達交渉力は絶大ですよね。
天下のコカコーラだって、マクドナルドの交渉力は大きな脅威ではないでしょうか?
■ モスバーガーの戦略
一方、モスバーガーはマクドナルドとは対極の戦略を採っていると言えるでしょう。
よく「二等地戦略」なんて揶揄されたりもします。
実際に、モスは商店街からさらに一本路地を入った目立たないところに
立地していたりします。
実は、創業当初、出店資金に苦しんでいたときの名残だとも言われています。
しかし、これは極めて合理的だと思うのです。
モスは「味」が訴求ポイントとしていますから、
二等地でも、顧客はちゃんとモスを目指して来店してもらえるはずだという考え方ですね。
http://www.opi-net.com/opiken/20050502_05.html
■ 両社の投資戦略の違い
結果、マクドナルドは「出店」に積極投資を行い、
利便性で徹底して規模拡大を狙う。
さらに、広告にも積極的に投資をして、集客力を高める。
集客につながることは積極的に投資を惜しまない、、、
それがマクドナルドの投資に対する基本スタンスだと思うのです。
なぜならば、売上拡大がマクドナルドのコスト競争力を支えているからです。
その結果、さらにワールドワイド調達によって調達コストを引き下げることを加速させます。
モスは、出店にはコストをかけずに、
その分、原価にしっかり投資をして味で勝負する。
味に関しては、徹底してこだわって様々な投資を行い続ける。
未確認情報ですが、モスの原材料比率は40%を超えると言われています。
一方で、マクドナルドは決算情報によると30%弱ですね。
典型的な「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」の構図となります。
戦略は、投資方針に大きな違いを生みます。
まずは戦略を固めること、これは全ての施策の原点になるわけですね。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
【関連記事】
【マクドナルドの戦略】マックカフェ〜メガマック
安さだけでは勝てない時代 〜ユニクロとマクドナルドの戦略
結果として、
マクドナルドは売上高を伸ばし、すかいらーくを抜いて飲食業の頂点に立ちました。
飲食業売上高、マクドナルド首位 日経調査
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090513AT1D120CQ12052009.html
一方、モスバーガーは、期初の赤字予想を覆し、
5億5200万円の最終黒字になったと、、、
モスフード3月連結、期初の最終赤字予想を覆して5億5200万円の最終黒字に
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090512/1026104/
ま、何かとよく比較される2社ですが、
戦略としては、明らかに対極にあると言われています。
マクドナルドは、何と言っても「価格」と「利便性」が売りでしょう。
一方、モスは「味」訴求ですよね。。。
改めて、両社の戦略を整理してみます。
■ マクドナルドの戦略
基本的には、徹底した利便性の高い立地に出店してきたのが特徴。
私も、たまにマクドナルドは利用しますが、
時間のない時に、駅前の大変便利な場所に立地しているのは、大きな魅力です。
出店には、利便性を最大に重視しているため、おそらく出店コスト(賃料)には、
大きな投資を余儀なくされていることと思います。
しかし、何と言ってもマクドナルドの強さは「コスト競争力」にあるでしょう。
100円バーガーを出しても、しっかり利益を叩き出せるコスト体質は、
他社にはマネの出来ない同社ならではの競争優位性です。
それを支える仕組みとしては、調理などを中心とした
店舗オペレーションを徹底的に標準化するための「マクドナルドマニュアル」。
これにより低廉な労働力である「学生アルバイト」を徹底活用するしくみが、
同社の低コスト体質を創出していると思われます。
しかし、以前私がマクドナルドにインタビューしたときに、
「マクドナルドマニュアルなんて、どこにでもあるマニュアルですよ。
欲しければ、一部差し上げます。秘密でもなんでもありません。
私たちが優れているのは、それを現場に定着させるしかけです。
これは、そう簡単にマネすることはできません。」
担当の方は、胸を張っておっしゃっていたのが印象的です。
確かに単にアルバイトを使えばコスト競争力が生まれるわけではありませんね。
アルバイトが生産性を上げるために、様々なモチベーション管理がなされています。
「オールジャパンクルーコンテスト(略してAJCC)」と呼ばれる
アルバイトの技量を争う全国大会が開催されています。
優勝を狙って、かなり熱く戦うようですね〜。
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2008/company/20080625.html
また、コスト競争力については、世界レベルで原材料調達を行っているという
「ワールドワード調達」という仕組みも有名です。
やはり規模の経済性によって、調達交渉力は絶大ですよね。
天下のコカコーラだって、マクドナルドの交渉力は大きな脅威ではないでしょうか?
■ モスバーガーの戦略
一方、モスバーガーはマクドナルドとは対極の戦略を採っていると言えるでしょう。
よく「二等地戦略」なんて揶揄されたりもします。
実際に、モスは商店街からさらに一本路地を入った目立たないところに
立地していたりします。
実は、創業当初、出店資金に苦しんでいたときの名残だとも言われています。
しかし、これは極めて合理的だと思うのです。
モスは「味」が訴求ポイントとしていますから、
二等地でも、顧客はちゃんとモスを目指して来店してもらえるはずだという考え方ですね。
http://www.opi-net.com/opiken/20050502_05.html
■ 両社の投資戦略の違い
結果、マクドナルドは「出店」に積極投資を行い、
利便性で徹底して規模拡大を狙う。
さらに、広告にも積極的に投資をして、集客力を高める。
集客につながることは積極的に投資を惜しまない、、、
それがマクドナルドの投資に対する基本スタンスだと思うのです。
なぜならば、売上拡大がマクドナルドのコスト競争力を支えているからです。
その結果、さらにワールドワイド調達によって調達コストを引き下げることを加速させます。
モスは、出店にはコストをかけずに、
その分、原価にしっかり投資をして味で勝負する。
味に関しては、徹底してこだわって様々な投資を行い続ける。
未確認情報ですが、モスの原材料比率は40%を超えると言われています。
一方で、マクドナルドは決算情報によると30%弱ですね。
典型的な「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」の構図となります。
戦略は、投資方針に大きな違いを生みます。
まずは戦略を固めること、これは全ての施策の原点になるわけですね。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
【関連記事】
【マクドナルドの戦略】マックカフェ〜メガマック
安さだけでは勝てない時代 〜ユニクロとマクドナルドの戦略
コメント
コメント一覧
先日はありがとうございました。
今回の、マックとモスの比較非常に明快に整理されていて、非常に参考になりました。
戦略が起点になって、各種戦術と施策につながるという点に非常に共感します。
特に、マクドナルドは当期にやつぎばやにWBCのスポンサーシップなど5つのプロモーションを展開したと聞きます。
マクドナルドの規模の企業が、このスピード感で施策を実施する秘密はそこにあるのかと感じています。
規模の経済と多様性の経済(1種のロングテール)を組み合わせて、スピードを持って実施する。
戦略の明快さが重要だということを、家弓さんの記事で確認できました。
ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
> 特に、マクドナルドは当期にやつぎばやにWBCのスポンサーシップなど5つのプロモーションを展開したと聞きます。
そうそう、マクドナルドはこういったワールドワイドのイベントに対して、
スポンサリングするのが得意ですよね。
もっとも、世界規模でプロモーションする投資対効果が
期待できる企業はそれほど多くないでしょうけど、、、
> 規模の経済と多様性の経済(1種のロングテール)を組み合わせて、スピードを持って実施する。
おぉ、確かに多様性をも組み合わせていますね。
ちゃんとそれぞれの地域に適合するローカライズも実施しているようですし、、
ありがとうございました。
Kay