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前回、本質的な顧客ニーズについて、お話ししました。
でも、現実にそれをビジネスに生かしている会社って、
そうそう多いわけではないと思うのです。

【参照】顧客インサイト!顧客の本質的ニーズとは何か?

しかし、まさに我々がマーケティングカレッジで教えていることを
実践している企業がありました。
これは、受講生の方から教えていただいたのですが、
すでに破たんしてしまった英会話教室のNOVAなんです。

社会的にはいろんな問題があったかもしれませんが、
その営業プロセスには、実に顧客のニーズに着目した
優れたものがありましたので、ご紹介しておきますね。

NOVAは、2007年に破たんしましたが、
農婆「No Problem , I am NOVA!」と言ってみたり、
「駅前留学」、「お茶の間留学」というユニークなコンセプト、
「NOVAうさぎ」というキャラクターが人気となったりしました。
基本的にプロモーションの上手な会社ですね。

そんなNOVAは、営業プロセスも徹底して顧客ニーズに則っていたようです。

まず、スクールに来校された、Visiter(顧客)に対し行うプレゼンテーションの
一番最初にIB(Ice Break)というパートがあります。
これは文字通り、警戒・不安で氷のようになっている顧客の心を溶かすというプロセスです。

このIBのプロセスを描くと以下のようになるそうです。


店員:「なんで英会話をはじめようと思ったのですか?」 → 1st Why?

顧客:「GWに彼女と海外旅行にいくので、英会話を始めたいと思いました。」

店員:「そうですよね。せっかく海外旅行に行かれるのに話せたほうがいいですよね!
    では、説明をきいてよければ始めましょうね!」

→ ここで終了すると、NGです。

さらに・・・

店員:「なぜ、海外旅行で話せたほうがいいと思ったのですか?」 → 2nd Why?

顧客:「買い物の時に役に立つと思って。」

店員:「お買い物の時に話せたほうがいいですよね?
    以前にそう思われたきっかけがあったのですか?」 → 3ed Why?

顧客:「実は、去年の海外旅行の買い物で失敗してサイズを間違えて購入し、
    後で返品に行ったが言葉が通じず結局泣き寝入りで、しかも彼女のプレゼントだったのに・・・」

店員:「なるほど、今回は彼女のプレゼントも間違いなく購入できるように英会話を少しでも話せるように
    なって、GW海外旅行に行ってくださいね!」

このプロセスには、様々な意味がありそうです。


まず、「なぜ?」とうまく掘り下げることで客の「実は・・・」(本当のニーズ)が聴き出せます。
そして、それを御自身に話してもらうことで、顧客も自分で
「今日なぜNOVAに来たのか」、「なぜ自分に英会話が必要なのか?」
について再認識していただく効果が期待できそうです。

その結果、顧客に「話を聴く姿勢」になって頂き、動機付けを行います。
今回の場合、英語で買い物を成功させたいだけでなく、
きっと彼女の前でかっこいい自分を見せたいという思いもリマインドし、
ますます英会話を勉強しなきゃ!と動機づけられたことと思います。

このIBを通じた動機付けの上で、システム説明・料金説明を聞いていただくことで、
より具体的に英会話スタートを検討していただき、さらには契約していただけます。
つまり、IBが終わった段階では、「聴いてよければNOVAで英会話をはじめよう!」という
気持ちになっていただいていることを目指しているんですね。


ここでは、
 ・企業が「顧客ニーズ」を理解すること
 ・顧客に「必要性」を再認識してもらうこと
 ・顧客の購買の動機づけを促すこと
という3つの目的をしっかりとカバーしているわけですねぇ〜


皆さんは、顧客のニーズを理解するために、どのような努力をしていますか?
一般には、アンケートなどの定量調査、グループインタビューなどの定性調査を
行っているケースが多いと思いますが、顧客の深層心理まで掘り下げるなら、
マンツーマンの面接型の「デプスインタビュー」という手法が適しています。

「顧客ニーズ」というものはとても難しいものですが、
現代のように、低成長、差別化が困難で、顧客が高度化・複雑化している時代においては、
その「顧客の本質的ニーズ把握力」が差別化のポイントになるのかもしれません。


【関連記事】
顧客インサイト!顧客の本質的ニーズとは何か?  2009年04月21日


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦