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Bottom of Pyramid(以下、略してBOP)って聞いたことありますか?
実は、私も最近知人に教えてもらったのですが、
経済ピラミッドの底辺に位置する人々を指しているそうです。

■ 既に動き始めているネクストマーケット

この概念は「ネクスト・マーケット/プラハラード著」で紹介されましたが、
彼は1日2ドル未満で生活する人々40億人を対象としたビジネスを提唱しています。

「ネクストマーケット」では「使い切りサイズでシャンプーを提供したP&G
などが紹介されており、この極貧層に消費機会を提供したとされています。

同様に、新興国ではマイクロファイナンスと言われる
「低所得者向けの小規模金融サービス」が急増しています。
バングラデッシュのグラミン銀行、インドのICICI銀行、
カンボジアのACLEDAなどが積極的に展開しているそうです。

また、携帯電話の領域では、ノキアが5人で共有できるソフトを搭載した
端末を発売し、BOPへ提供しているといいます。

ダノン
は、バングラデッシュでヨーグルトの製造販売を開始するにあたり、
マイクロファイナンスを活用して、現地畜産家の育成に注力したと言われています。

日本でも、すでに動きは始まっているようです。
住友化学はマラリアの予防に効果がある長期持続型防虫蚊帳を販売しています。
実は、この取り組みは私の知人が担当しています。(^^)


■ 企業の思いは何か?

これらは、企業としては二つの側面を持っていると思います。

ひとつ目は、「社会貢献」としての意義。
前回のブログでも書いたコーズ・リレーテッド・マーケティングの視点ですね。
実際に、P&GはWHOと提携をしているようですし、
住友化学もユニセフとWHOと提携しています。

こういった社会的な意義のもと、各社が動き始めているのです。


もう一つの側面は、マーケティング目的ですよね。
すでに、日米をはじめとする多くの先進市場は成熟化が始まっています。
企業として、次なる市場、つまり「ネクストマーケット」は新興国ですよね。
そして、このBOP市場は莫大なポテンシャルを持った魅力的市場機会です。

しかし、当然のことながら消費力は弱く、通常のやり方では取り組めません。
ましてや、超長期的なレンジで取り組まなければならないかもしれません。
しかし、企業の持続的成長を図るためには、重要な位置づけでもあるわけです。

例えば、自動車産業。
昨今は不況業種の代名詞ですが、世界的に見れば、
新興国市場は巨大なポテンシャルが眠る魅力的市場でしょう。
これからの自動車業界は、このBOP市場をいかに攻略するか?によって、
全く新しい勢力マップに塗り替えられてしまうかもしれません。
インドのタタグループ、恐るべしですね〜

■ BOP市場創造に求められる視点

BOP市場創造には、当然コストパフォーマンスが求められますから、
地域を超え、グローバルなスケーラビリティも必要ですね。
やはりコスト構造を劇的に変えるには、規模の経済性は不可欠です。

とは言え、それだけでは限界があって、
その実現のためには、発想の転換によって、
劇的なコスト競争力の向上が必要となることは間違いありません。
新旧の技術、産業機能を組み合わせて、
新たなビジネスモデルが必要となるはずです。

また、前述のように国際機関・NGO・現地産業との
友好的コラボレーションも不可欠でしょう。
ダノンは現地のグラミン銀行と組んでいるんです。

こういった「企業軸」「業界軸」「国家軸」「時間軸」などを超えた発想で、
イノベーションを巻き起こしていくことが、
ネクストマーケットを掘り起こし、攻略していくカギとなりそうです。

「Bottom of Pyramid」
、、、
世界レベルの大きな視点でモノを見ることに気がつかされたキーワードでした。


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦