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ネットスーパーと言えば、これまでもアイワイグループや西友などが展開していましたが、
2008年の市場規模が227億円と、前年日25.1%の成長とみられています。
富士経済2009.3.10発表

ネットスーパー業態は、採算面から見れば「まだまだこれから、、、」というところのようですが、
今後注目される業態の一つであることは間違いなさそうですね。
実際、住友商事も「住商ネットスーパー」を立ち上げて参入を表明しています。

これを機会に、マーケティングの視点から「チャネル戦略」について考えてみましょう。

チャネル戦略を考えるための視点

そもそもチャネル戦略とは何か?
大まかにその要素を大別すると、チャネル構築とそのマネジメントに類型できそうです。
そして、そのいずれも「顧客への提供バリューの最大化」と考えることが必要ですね。

よく受講生の方に質問をすると、
「効率的に売れるチャネルを作る」とか「儲かるチャネルを構築する」といった
供給者の論理で考える過ちを犯しがちですが、、、

やはり、ここはマーケティングの原点に立ち返って「顧客視点」に立ちたいものです。
では、これまでのチャネルはどんなバリュー提供をしてきたのでしょうか?

<第一ステージ>できるだけ多店舗を目指す

コンビニ
チェーン店舗など、多くの流通業が多店舗化を図ってきました。
これは、もちろん顧客にとっては購入の利便性を高めてくれます。
マクドナルドは、駅前一等地にきめ細かく出店を繰り返してきました。
私の場合、マックに行く時は「そこにマックがあるから、、、」という理由に他なりません。(^^)

<第二ステージ>顧客のいる場所にもぐり込む

マクドナルド
にとって、標準店舗で出店可能な場所を概ね網羅し尽してしまうと、
次の一手は、顧客のいる場所にもぐり込むというサテライトショップ構想に出ます。
れは、ショッピングモール内、駅や大学構内、ガソリンスタンド併設などの新店舗モデルです。

コンビニチェーンのampmも最初は、旧共同石油がガソリンスタンド併設型の
コンビニとして拡大を図ったんですよね。

<第三ステージ>顧客に足を運ばせない

そして、とうとう顧客には足を運ばせずに、こちらからお届けするステージに入ります。
冒頭紹介したネットスーパーはこのステージに相当しますね。

コンビニ業界でも、セブンイレブンがセブンミール」という食事宅配サービスをやっています。
コンビニも、もう出店に依存した成長には限界が来たということでしょう。

■ 「小売の輪理論」の逆張りか?

小売の輪理論とは、
 (1)新しい小売業態は、ローコスト低価格を実現して登場する
 (2)やがて、同様の類似モデルを実現した競合が追随する
 (3)競争に勝つために、各社付加価値化を目指す 
 (4)結果として、当初のコスト競争力は失われる
 (5)また、別の新しい小売業態が登場し、コスト競争力によって台頭していく
こんなサイクルを回すと言われています。

しかし、これは1950年代に提唱された理論なんです。
今は、全く逆の「付加価値型小売の輪」が生まれているようです。

(1)チェーン店舗はローコスト低価格を実現
(2)多店舗やサテライトを目指して、付加価値アップ
(3)さらに、宅配型を目指して、さらにさらに付加価値化

ここまでが現在の状況で、付加価値化をたどっていますね。
そして、これから起こることを仮説として考えると、、、

(4)類似競合がどんどん登場してくる

そうすると、当然のことながら、、、

(5)激しいコスト競争に陥る

結果として、

(6)コスト競争力のあるビジネスモデル構築に成功した企業が勝ち残る

ってな感じでしょうか?
ちょうど、「小売の輪理論」の逆パターンです。(^^)

まだまだ、ネットスーパーもコスト競争はおろか、黒字化を目指しているところですが、
いかにコストを抑えた宅配ビジネスモデルを構築するかが競争のルールになるのでは?


ま、今後の小売業態に注目です。


【御参考】 チャネルが生み出す顧客バリュー

コトラー先生は、チャネルの役割を7類型しています。
そして、すべて顧客のバリューという視点でも定義できます。

(1)調査
 消費者に直接接するチャネルは、メーカーにその情報を還元することで、
 より顧客バリューの大きな商品提供に貢献するはずです。
(2)プロモーション
 顧客は、購入にあたって様々なプロモーション情報をもとに購入決定するでしょう。
 チャネルは、顧客の購入を支援する情報を提供しているとも考えられます。
(3)接触
 身近な場所で購入できる、つまり利便性を提供するためには、
 チャネル密度を高めることで、顧客のバリューはアップするはずです。
(4)交渉
 様々な取引条件の交渉に応じるのもチャネルです。BtoBで良く見られる
 「納期や支払い」などの取引条件を顧客の要望と調整する役割ですね。
(5)適合
 チャネルが顧客の要望にマッチするよう加工などの手を加えることがあります。
 自動車の「ディーラーオプション」、食品スーパーの「パッケージング」など
(6)物流
 自宅まで「配送」してくれる、その場で入手できるよう「在庫」してくれる
 といった利便性を提供してくれています。
(7)金融
 クレジットなどの支払いを受けてくれます。
 ま、これは金融会社との提携で実現しているわけですが、、、


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦