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ヒトには、必ず思考のクセや先入観、思い込みなどがあると思うのです。
「仮説構築の技術(2) 〜そもそも仮説とは何か?」 にて、
仮説と思い込みの違いはお話ししましたが、
まずは、この思い込みを回避するために、
今回は「俯瞰思考」について考えてみたいと思います。


■ 可能性を考える

仮説には、その局面において様々な仮説を考えると思いますが、
果たして、そこに思い込みが入っていないか心配です。
そんな時にこそ、「可能性を見極めること」が重要だと思うんです。

可能性を見極めるためには、まず俯瞰思考を持つこと。
仮説の全体像をしっかり概観することを意識しましょうね。


■ ロジックツリー

そのためのツールとしては、ロジックツリーが有効だと思うのです。
ロジックツリーについては、こちらで簡単に触れていますのでご参考までに、、、

例えば、「PCがトラブった」という現象に対して、
その原因に関する仮説を考えてみましょう。

大きくその原因を分解して考えてみると、
「ハードウェア」と「ソフトウェア」に分けて考えることができそうです。
つまり、ロジックツリーで描くと、

             −ハード
PCトラブルの原因−
             −ソフト

こんなツリー構造が描けます。
しかし、ここで改めて俯瞰思考に立って、問題意識を持ってほしいんです。
これで全てか?可能性は網羅できているか?


■ MECE

ロジックツリーを描く際、必ず留意してほしいのがMECEの概念なんです。
MECEとは、ミーシーあるいはミッシーと発音しますが、
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略です。
その意味は「ヌケモレなく、ダブりなく」という意味ですね。
つまり、PCトラブルの原因は、「ハード」と「ソフト」に分解して、
「キチンとヌケモレなく、ダブりなく分解できているか?」
と、自問してください。

すると、どちらにも分類入りにくい要素として、
「ネットワーク」の問題が考えられそうだと気づけば成功ですね。
当初の思い込みには、偏りがあったと反省できます。

つまり、MECEチェックによって、思い込みは排除できるんです。


■ 分解の切り口

このロジックツリーを描くときに最も困るのは、
その分解に用いる切り口の設定です。
フェルミ推定でも、分解の技術は使いましたが、
やはり「分解」は仮説構築のカギとなるんですよね。

しかし、こればかりは「絶対ルール」は存在しないので、
様々な試行錯誤をして欲しいところなのですが、
そう言っては、戸惑うばかりでしょうから、
ここでは、よく用いられる切り口の一例を示しておきますね。

(1)定量軸:これは定量化できる概念を一定の幅で分解します。
  ex. 〜 10歳 〜 20歳 〜 30歳 〜 40歳 〜 50歳 〜 60歳 〜

(2)対立概念:これは明確に対立する2つに大きく分解できます。
  ex. Yes ←→ No

(3)時間軸:時間の経過を一定の幅で分解します。
  ex. '07年 / '08年 / '09年 / '10年

(4)プロセス:時系列的視点からフローやプロセス毎に分解します。
  ex. バリューチェーン = 仕入 → 製造 → 物流 → 販売 → サービス

(5)カテゴライズ:大まかに同質なものをまとめてグルーピングします。
  ex. 3C分析 = 市場・競合・自社

(6)マトリクス:上記の切り口を組み合わせるとマトリクスになります。
  ex. 成長マトリクス → 詳細はコチラ

このように、すでにフレームワーク化されているものも多いですよね。
フレームワークは、この分解の技術によって俯瞰思考を持つことを
目的としているものが多く存在しているのです。


■ オプション評価

このロジックツリーで「可能性のある仮説」が列挙されました。
しかし、これでは、そもそも生産性を上げ、スピードアップを図るために、
仮説を立てているのに、むしろ時間がかかってしまいますよね。

【参照ブログ】仮説構築の技術(1) 〜なぜ仮説思考が必要か?〜

そこで必要なのが、オプション評価です。
ロジックツリーで可能性あるオプションを列挙した目的は、
あくまで「思い込みを排除するため」であって、
「何から何まで考えること」が狙いではありません。

可能性を評価して、プライオリティをつけ、
考えなければならないことを絞り込みましょう。

「PCのトラブル」というテーマで考えるなら、
ハード面なら、この症状は「インタフェース」がおかしい時の症状だ、、、
また、ソフト面だと「環境設定」の可能性が高い、、、
でも、そもそもネットワーク面で、社内のLANのトラブルもあり得る、、、
といった具合です。

「ここが怪しい!」
とアタリをつけることが重要なんです。
やはり、ここでも「Quick & Dirty」ですね!


ここまで、仮説構築の技術について、いくつかご紹介してきましたが、

フェルミ推定
:そもそもどうやって変数に代入する数値を特定するの?
とか、、、
オプション評価:各オプションに、どうやってプライオリティをつけるの?

という疑問が残ります。
いよいよ具体的な仮説を立てるための本質的技術に入っていきましょう。

、、、というところで、次回に続きます。(^^)

仮説構築の技術(9) 〜 総括まとめ  2009年03月30日
仮説構築の技術(8) 〜「帰納法」の本質を知る  2009年03月27日
仮説構築の技術(7) 〜「演繹法」の本質を知る  2009年03月26日
仮説構築の技術(6) 〜思考プロセス「演繹法」「帰納法」  2009年03月25日
仮説構築の技術(5) 〜思い込み回避の俯瞰思考  2009年03月24日
仮説構築の技術(4) 〜フェルミ推定による定量的推論  2009年03月20日
仮説構築の技術(3) 〜見えない将来を予測できるか?  2009年03月19日
仮説構築の技術(2) 〜そもそも仮説とは何か?  2009年03月17日
仮説構築の技術(1) 〜なぜ仮説思考が必要か?〜  2009年03月13日


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦





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