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前回は、将来予測の技術をお話ししました。
しかし、将来はおろか現在のことですらわからないことだらけですよね。

ということで、今回は特に定量的な推論の技術「フェルミ推定」について
お話をしてみたいと思います。

皆さんは、米Google社「Crazy Questions」って御存知ですか?
Google社の採用面接で聞かれる質問として有名なんです。

一例を挙げると、
 「一代のスクールバスにゴルフボールは何個入るか?」
 「シアトルのすべての窓ガラスを洗浄する場合、あなたはいくら請求する?」
 「全世界でピアノの調律師は何人いますか?」

わかるわけないですよね!(爆)
そもそも、なんでピアノ調律師なんだ!って思いますよね!(笑)

しかし、これはいくつかの変数にブレイクダウンして、
推論公式を立てることに意義があるんです。

この推論の立て方をフェルミ推定と呼んでいます。
フェルミ推定とは、ノーベル物理学者、原子力の父と呼ばれた
エンリコ・フェルミ氏が、自身が教鞭をとっていたシカゴ大学で、
「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」と出題したのが
始まりだと言われています。

これで、ピアノ調律師の謎はわかりましたか?(笑)

「問題解決プロフェッショナル/斎藤嘉則」では、
システムキッチンの事例を使っていますね。

<演習>システムキッチンの国内市場規模を推定せよ

先日のセッションでは、制限時間を3分と設けました。
「そりゃムリだよ!」と言わずにチャレンジしてみてください。
想像以上に、なんらかの解にたどり着いた方がいらっしゃいましたよ。

コツは、一段階ずつ公式をブレイクダウンしていくんです。
(以下は、上記分権とは関係なく家弓のオリジナルの解です)

(1)市場規模 = 年間需要量 × 平均単価

ですよね。

さらに、
(2)年間需要量 = 年間導入可能世帯数 × 購入率
(3)導入可能世帯数 = (新築+建て替え+リフォーム)×4名以上ファミリー率
(4)建て替え+リフォーム = 現総世帯世帯 ÷ 住宅耐久年数

この公式に各変数を代入すれば、解はもとめられるはず、、、
ま、この変数を決めるのも一苦労なんですが、、、

しかし、まだ十分な推論ができるわけではありませんね。
なぜなら、購入率と言っても、地域格差が大きいかもしれません。
ここで、(2)の公式をさらに分解します。

年間需要量 = 首都圏世帯数 × 首都圏購入率
         +ローカル世帯数 × ローカル購入率

つまり、異質なセグメントはグルーピングして考えねばならなんです。


ここで、フェルミ推定のプロセスをまとめておきましょう。

■ 全体俯瞰
  まず全体像を把握します。(上記の例では、システムキッチン市場全体)

■ グルーピング
  異質なセグメントを分解して考えます。(首都圏とローカル)

■ 因数分解
  影響する変数によってい因数分解(公式作成)

■ 変数の代入
  各変数に数値を代入

これで、答えは出るわけですが、それではフェルミ推定の本質は
まだ半分しか理解したことにはなりません。

次のステップとしては、

■ ボトルネック探索

ここでは、代入した変数のうち、最も「不確定」で、かつ「インパクトの大きい」
変数を特定します。
つまり、ここまでのロジックの最大のウィークポイントですね。

これをちゃんと見極めて、その変数に注力して検証することで、
ようやく「確からしい仮説」が見いだされるわけです。

つまりフェルミ推定は、ポイントとなる検証論点を明確にして、
最も効率的に、かつエネルギーをFocusして、
確からしい仮説を導き出すための技術なんですね。

ちなみに、フェルミ推定は、
Back of Envelope」と呼ばれます。
つまり、封筒の裏ぐらいでチャチャっと簡単な計算をして、
大まかなアタリをつけることを目的としているわけです。

以前のブログで紹介した「仮説構築の基本原則」を思い出してください。
  「Quick & Dirty」
まさに、フェルミ推定は仮説構築の基本原則を踏襲しているわけです。

と、まぁ、今回は定量的な話でしたから、
数字嫌いの方にはちょっとツラかったかもしれませんね。

次回からは、定性的な仮説の話に入ります。
もうちょっと身近な話になると思いますので、お楽しみに!

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株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦





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