昨今、シナプスでは「VOC(Voice Of Customer)経営」というテーマについて研究し、その組織浸透に関わるコンサルティングに力を入れています。
ここで、VOC経営に関わる一考察をまとめておきます。


VOC経営とは何か?

顧客の声、顧客ニーズがビジネスの上でとても重要であることは、今さら言うまでもありませんよね。しかし、それを徹底的に収集し、真摯に耳を傾け、戦略的に活用され、行動や成果につながっている組織は極めて少ないと思うのです。
そこでシナプスは、今こそ敢えて「VOC経営」の実践を提唱したいのです。
ここで言うVOC経営とは、
戦略構築から現場のアクションに至るまで、
全ての意思決定プロセスや行動規範が
顧客視点、真のニーズに基づいている組織経営
を指しています。
 
その実現のためには、表面的な顧客の言葉だけではなく、
  • 顧客がハラの底で考えている本音
  • 現場で起きている赤裸々な現実
  • 顧客自身も気づいていない重要な課題
をつかむことが不可欠となります。
 
つまり、顧客の声、行動、現場に、徹底的に目を向け、耳を傾け、顧客とともに真剣に考え、課題解決に導くことが求められているわけです。しかし、これが意外と難しい。
まず、VOC経営を推進する前に、その阻害要因を考えておきたいと思います。


VOC経営を阻むモノ

VOC経営に至るステージには以下の3ステップがあると思うのです。
 
【Stage1】 経営トップのコミットメント不足

トップマネジメントは顧客主義を掲げつつ、実は本気でコミットしていない。顧客本位の行動を起こしていない。これは実はトップの意識が顧客思考を持っていない証である。当然、現場も顧客思考になるはずもない。

 
【Stage2】 現場一人ひとりの意識浸透の壁

トップは明確に顧客思考の重要性を解き、方針を示し、本気になっている。
しかし、それが現場には浸透せず、一人ひとりのマインドや行動は本気で顧客に向いていない。そんな組織に限って、社員は「自分は顧客を理解している」と誤解していることが多い。

 
【Stage3】 現場の文化や習慣のハードル

トップも現場も顧客思考の重要性を認識し、変革の必要性を感じている。しかし、行動を起こす気持ち持ちつつも、これまでの文化や行動習慣が顧客志向への変革を阻んでいる。顧客のもとに足を運ぶことに抵抗感を感じ、フットワークが重くなる。あるいは顧客に時間をとってもらうことに、恐れやうしろめたさをもってしまう。
 

【Stage4】 現場のスキルの限界

積極的に行動するマインドは持っているものの、戦略が不明確で、その行動が非効率的であったり、またスキル不足などによって十分な成果が出ていなかったりする。結局、うまく顧客の真の声をつかめず、それを成果に繋げられないジレンマに悩む。



まず、Stage1の経営トップのコミットメントは最も大きな影響力を持っています。
まず経営トップが本気でVOC経営を実現したいと思っていることが不可欠なのです。
それを前提として、Stage2以降の現場の意識、文化(習慣)、スキルの問題が
VOC経営を阻んでいることが多く、その打破には多大なエネルギーを要し、
そこで挫折している企業がとても多いように感じます。


それでは、それらの障壁を超えて、VOC経営を実現するためにはどうしたらよいのか? 
次回は、VOC経営に向けてシナプスが提供しているメソッドをご紹介いたします。


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦



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