〜 4つの学びのシーン 〜
私たちはどのような場面設計を行えば、
新たな知識を学びやすくなるのでしょうか。
当社(シナプス)では、「独考」「交感」「深考」「概念化」
という4つのシーンにおいて、学びを創出できると考えました。
そこで今回は、ヒトが学んでいくプロセスを解説していきます。
4つの学びのシーン(1) 独考
何かを学ぶためには、まず自分1人で考えることが必要です。
当社では、これを「独考」と呼んでいます。独考によって、
できないことやわからないこと、
考えることの難しさを実体験できます。
このような認識は、新しい気付きへの第一歩となってくれます。
そもそも独考を行っていないときは、「できているつもり」になりがちです。
たとえばマーケティングの勉強のために、たくさんの本を読んだとします。
しかし、いざ1人でマーケティングの事前課題に取り組もうとしても、
上手にできないこともあるでしょう。
そのとき、できない自分に愕然としますが、
「上手にできない自分」という現状を再認識することが必要なのです。
できること・できないこと、わかること・わからないことを
独考によって知ることにより、
自分が今後どうすべきなのかを知る手がかりを得られます。
そこで当社では、受講者に研修前の事前課題を与え、
自分なりに問題解決することを依頼しています。
専門知識をインプットする前の受講者は、
課題を解決する術(知識など)が全くわからないこともあるので、
その場合は受講者が問題に取り組みやすいような
ガイドブックを渡しています。
また本業が忙しく、事前課題に取り組む時間のない受講者もいます。
その場合は、研修当日のセッションの中で
個人ワークを入れるスタイルを採用し、
予習ができない部分をカバーするなどの工夫を行うこともあります。
4つの学びのシーン(2) 交感
次に必要なのは、グループワークなどを通じて
自分とは異なる考え方に触れ、視野を広げていくことです。
当社では、これを「交感」と呼びます。
たとえば、「この演習の答えは、当然これしかない」と
思い込んでいた回答でも、
他者との話し合いによって全く異なる結論を知ることができます。
考え方には、その人独自の思考の癖が現れます。
なので、営業畑の人が分析した結果と、
技術畑の人が分析した結果が異なることも当然起こりうるのです。
そこで、さまざまな物事の考え方に触れながら、
視野を広げることがポイントとなります。
よって当社では、グループワークで異なる意見に触れられるように、
年齢や部署など、さまざまな属性の人と会話できるような
グループ編成を行っています。
またグループワークでは、受講者をグループの議論に
貢献させることも大切です。
なぜなら、自分の意見をアウトプットすることで
フィードバックを得ることができ、
それによって徐々に学んでいけるからです。
さらにはグループワークに貢献できると、
「自分はしっかりと参加した」という意識が生まれ、
研修自体の満足度が上がります。
満足度が上がれば、ますますやる気になるという好循環が発生します。
4つの学びのシーン(3) 深考
続いて、さらに深く考え抜いたり、
新たな論点や掘り下げた論点について考え続けたり
することが求められます。
当社では、これを「深考」と呼んでいます。
受講者は「交感」のプロセスにおいて、
すでに周りの受講者たちと課題について思考しています。
しかし多くの場合、それではまだまだ考えが足りず、
根拠について掘り下げ不足です。
そこで深考のプロセスでは、さらに深く考え抜いていきます。
考え抜くための効果的な手段のひとつに、
受講者全員での全体ディスカッションがあります。
ディスカッションにおいて、受講生間で指摘や質問を与え合うと、
同じ受講生の声だからこそ響く内容があります。
そして、さらに深く考えるきっかけとなるのです。
研修講師はこのとき、学びの何を押さえるべきか、
という「ラーニングポイント」を深く考えさせるための
上手なマネージを行っていきます。
受講者間でランダムな質疑応答が起きているときに、
「なぜ、そのように考えるのか?」などと問いかけて、
学んでほしいポイントを講師がフォローアップしていくイメージです。
つまり、受講者が深く考えるための問いかけを講師が行っていきます。
受講者は、受講生間同士のディスカッションと
講師からの問いかけによって、
考えているつもりで実は思考が停止していた、
という自分に気付くことができます。
4つの学びのシーン(4) 概念化
最後に、講師が知識を取りまとめ、
分析フローや思考プロセスなどの重要なラーニングポイントを示します。
こうすることで、受講者は体系化された知識を
ハラオチさせることが可能です。
当社では、これを「概念化」と呼んでいます。
たとえば環境分析について学ぶとき、
レクチャーや演習、ショートケースを行いますが、
受講者の中で学んだ知識はまとまっていません。
そのとき概念化を行い、環境分析の重要なポイントはどこなのかを、
講師がわかりやすく整理して説明し、受講者にハラオチさせるのです。
受講者が習得した学びをハラオチさせるときは、
まず知識をインプットして、
「独考」「交感」「深考」の順番でアウトプットしていきます。
そして最後に「概念化」で、どのようなことを学んだのか、
についてラップアップ(議論のまとめ)をするという構成です。
以上のような4つのプロセスそれぞれにおいて、気付きや学びが生まれていきます。
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