オーディエンス分析


プレゼンのコンセプト立案は、
まずプレゼンの受け手を100%理解することからスタートします。
前述のとおり、プレゼンの主役は受け手にあるわけですから当然ですよね。


理解しておきたいポイント


特に、明らかにしておきたいポイントとしては、受け手のポジションです。

ポジションとは、
 属性(部署、役職、役割)
 バックグラウンド(経歴、立場)
などです。

受け手が企業の場合、ひとつの意思決定には多くのヒトが関わっています。

事前に把握しておくべきことは、
どのような立場のヒトが意思決定に関わり、
その中で影響力を持った真のキーパーソンは誰なのか?ということですね。


受け手のポジションを理解する「DMUマップ」


DMUとは、Decision Making Unitの略で、
意思決定に関わっている人たちを意味しています。

誰がどのように意思決定に関わっているのか?
その全体像を図示したものが「DMUマップ」と呼ばれます。
プレゼンに参加する相手方のメンバーは、このマップのなかの
どこに位置づけれる人なのかを把握しておきたいですね。

特に、その中でも真のキーパーソンを明らかにし、
そのキーパーソンが担っている役割、関心事を
明らかにしておくことがプレゼンの成功のカギとなります。


サンプルとして、
製造メーカーの生産設備導入の意思決定
に関わるキーマンをマップ化しています。

DMUマップ


生産設備の最終利用者(ユーザー)は製造部門ですが、
設備導入の起案は生産技術部の担当者(起案者)が行います。

その起案に対しては設計部や情報システム部が影響を及ぼす人として存在しています。
担当者は上司のマネジャーに起案書を提出し、
マネジャーは経理部門と予算調整を行います。

経理部門のチェックで問題がなければ執行役員に上申され、
最終意思決定となります。

その後、実際の購買の窓口は購買部門が担当することになります。

設備導入にはこれだけ多くの人たちが関わっているのです。


プレゼンを行うに当たっては、この中の誰がプレゼンに出席するのかをあらかじめ把握し、
その人の関心事、影響力などを明確化しておきましょう。


<生産設備導入に関わるDMUマップ>


相手の情報レベル・知識レベルも大事


受け手の情報レベルや知識レベルについても把握しておくとよいでしょう。
何といってもプレゼンではわかりやすさを追求することがカギとなります。
そのために「中学生でもわかるように説明する」ことが良いとされます。

技術に疎い事務方の受け手に技術的専門用語を並べて説明していたのでは
理解は得られないでしょう。

しかし、逆に技術の専門家に初心者を相手にするように
長々と初歩的な解説をしていては冗長で退屈なプレゼンになってしまいます。

相手のレベルに合わせたプレゼンを心掛けることは最低限のマナーと言えそうです。


相手にとっての未知情報は何か?


受け手の知っていること、知らないことを理解しておくことも有効ですね。

すでに受け手が知っている情報でも、
プレゼンの前提になることは説明しておくべきですが、
そういった情報は簡単に再確認しておく程度の説明で良いでしょう。

しかし、受け手にとって初めて耳にする情報は価値のある情報です。
それらの情報をうまくメリハリをつけて、
インパクトのあるプレゼンを目指したいものです。


本プレゼンに対するスタンス


できれば本プレゼンに対する受け手の基本スタンスも
理解しておきたいところです。

プレゼンに対して好意をもって前向きに聞いてくれる受け手もいれば、
最初から否定的で仕方なく聞いてやっているといった場合もあります。

このポジティブかネガティブかといった基本スタンスを理解しておくのです。

特に重要なのは、受け手がプレゼンに対して否定的なスタンスに立っている場合です。
その場合、そもそも何が否定の原因となっているのかを明らかにしておきたいですね。

そうすれば、否定要因を突破することがプレゼンの重要な目的となり、
あらかじめその対処方法を考え、
プレゼンのなかで否定的な要素を解消していかなければなりません。


まとめ


<オーディエンス分析で把握すべき重点ポイント>
  ポジション/属性      ⇒  真のキーマン、立場、役割、関心事に対応した訴求
  情報レベル/知識レベル ⇒ 保有情報や保有知識に応じた説明
  既知情報/未知情報   ⇒ 既知情報は再確認程度、未知情報を重点訴求
  プレゼンへのスタンス   ⇒ 否定要因を明らかにして、対策を検討


次回は、次のステップのニーズ分析へと続きます。
ここはとても重要なパートです。どうぞよろしくお願いします。




株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦




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