本稿の最後を飾るのは、昨年発売されたダニエルピンクの
「モチベーション3.0」のご紹介です。

(10)モチベーション3.0(ダニエルピンク)

ダニエルピンクは、モチベーションの考え方を3つのステージで捉えています。

<モチベーションの源泉に見る3つのステージ>
モチベーション1.0 : 生き残ること
モチベーション2.0 : 経済的報酬を求める、罰を避けたい
モチベーション3.0 : 内発的動機づけ

これまでの企業では、モチベーション2.0をベースとした
アメとムチによるマネジメントが行われてきました。
しかし、このアメムチマネジメントには様々な欠陥があるんですよね。

1.内発的動機づけを失わせる
これはアンダーマイニング効果でもご説明しましたね。

2.創造性を蝕む
結果にのみ目が奪われ、視野が狭くなることで創造性が失われるようです。

3.好ましい行動への意欲喪失
カネのために動いていると思われたくないという心理が働きます。
献血に金銭報酬を出したら、献血協力者が減ったという実験結果があります。

4.ごまかし、近道などの行動を助長する
結果だけを追い求め、手段を問わない傾向を生みます。

5.依存性がある
報酬に慣れてしまい、モチベーションが持続しない。
ということで、やはり「内発的動機づけ」の重要性を訴えています。
そして、内発的動機づけを3つの要素にまとめています。

1.自律性(オートノミー)

これは「自由に好きなように仕事をすること」。
この自由度がモチベーションに繋がるということですね。

その自由にも4つの視点(4T)があると指摘しています。
1.Task(課題):何に取り組むか?
2.Time(時間):いつ取り組むか?
3.Technique(手段):どのように取り組むか?
4.Team(チーム):誰と取り組むか?
これらの自由度を与えることが動機づけには有効なんですね。

そういう意味では、マネジャーの立場からメンバーを指導する際には、
取り組み課題やその方法について、有用な情報と選択肢を与え、
最終的にはメンバーの意思決定に委ねることが肝要です。

2.熟達(マスタリー)

「上達したい、成長したいという欲求」が動機づけにつながります。
しかし、「ゴルディロックスの仕事」であることが前提となります。

この「ゴルディロックスの仕事」とは、
メンバーの「しなくてはならないこと」と「できること」、
「求められる能力」と「本人の能力」がバランスしていることを指します。
つまり、困難すぎる仕事や簡単すぎる仕事では成長欲求を感じないでしょう。
マネジャーとしては、バランスのとれた仕事を与えることが大切ですね。

3.目的

最後に「高邁な目的を持つこと」が挙げられます。

これも、マネジャーの立場から3つの留意点があります。
1.目標 : 社会的な意義などをしっかり目標として示す
2.言葉 : 魂を揺さぶる言葉で明確に表現する
3.指針 : そして目標に向けて行動すべき指針を示す


これら「自律性」、「熟達」、「目的」という3つの要素によって、
ヒトは内発的に動機づけられ、成果を発揮していくことになるのです。


これまで、モチベーションについて様々な理論体系から説明してきました。
私もわかっているようで、実際の行動には反省することが沢山あります。
これらの基本をしっかり見つめ直し、高いモチベーションを持った組織を創っていきたいですね。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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