前回は、目標設定理論について解説しました。
これは多くの企業が活用している目標管理制度のベースにある理論です。
そのなかで「目標は明確に」かつ「高い目標設定」が望ましいとしています。
もちろん、それは本人のコミットメントが前提となっています。

しかし、本人が納得し、目標にコミットしていたとしても、
本当に高い目標を設定しておけばモチベーションは維持されるのでしょうか?

そこで、今回はセリグマンの「学習性無力感」についてお話しします。

(5)学習性無力感(セリグマン)

ロックの主張のとおり、明確かつ高い目標設定に本人がコミットしていたとします。
しかし、達成困難な目標だけに、目標がクリアできないことも多いでしょう。
その目標未達成が、毎回毎回続いていたらどうなるでしょうか?

本人は精一杯努力している。しかし、目標未達成が続く、、、
その結果、本人は「努力しても達成できない」という気持ちが生まれるはずです。
つまり「努力しても無理」という無力感を学習してしまうわけです。

これが「学習性無力感」ですね。

なぜ学習性無力感が生まれるのか?

学習性無力感が生まれるメカニズムは以下のように説明されています。

結果(成果)は行動によってもたらされる。
その行動面で精一杯の努力をしても、結果が伴わない。
つまり、必ずしも行動と結果は因果関係にはない。
だったら、行動しても無駄、、、無力感、、、

そんな心理作用が働いているわけです。
これを「行動と結果の随伴性」という言葉を用いています。

営業マンの行動に当てはめて考えてみれば、
受注を目指して精一杯の営業努力をした
しかし、結果として失注に終わった
つまり、営業努力と受注には随伴性がないと学習
営業努力に無力感を感じ、モチベーションダウン
ということになるわけです。

学習性無力感1

自信を失ったメンバーへの動機づけ

それでは、そのように自信を失ったメンバーに対して、
マネジャーはどのように動機づけるとよいのでしょうか?

様々なコミュニケーションのしかたがあると思いますが、
結果(成果)は必ずしも「受注」のみではない考えるとよいでしょう。
今回は失注に終わったが、お客様の信頼を勝ち取ることができた。
これで次回の商談には必ず声をかけてくれるはずだ。

学習性無力感2



このように部分的な成果を評価、フィードバックすることで、
「営業努力」が「信頼獲得」という成果につながっているという
「行動と結果の随伴性」を示すことができるはずです。

「行動と部分的結果との随伴性を示す」そんな解決策が考えられますね。


つまり、行動には結果との随伴性があるという期待感が必要となります。
この期待というキーワードはモチベーションにおいて重要です。
そのあたりを掘り下げて論じたのがヴルームの「期待理論」です。

次回は、この「期待理論」ついてお話しします。



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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