昨年は一気にTwitterがブレイクし、ソーシャルメディアブームとなりましたね。
弊社にも、ソーシャルメディア系の相談が増えています。
そこで、スタートアップにあたってのチェックリストを整理してみました。
戦略
□ 運用目的まずは自社のマーケティング上の課題を明確化することが第一歩です。
ソーシャルメディアを使うこと自体が目的ではないはずですから、、、
マーケティング上の課題は何ですか?
その課題はソーシャルメディアによって解決しますか?
一般にソーシャルメディアを活用する目的には、以下のパターンが考えられます。
Listening(リサーチ)
:顧客の日常のつぶやきから自社製品がどのように評価されているか?
Sales Promotion(販売促進)
:顧客をECサイトや店舗に誘導する、あるいは販促キャンペーンを告知するなど
Branding(ブランド構築)
:ブランドの認知、理解、イメージの向上などブランド形成にも有効。
Support(顧客サポート)
:ソーシャルメディアを顧客の疑問、要望などに対応する窓口とすることも可能。
その際のスタンスはActive/Passiveの2つのやり方が考えられます。
PR(広報機能)
:社会に企業情報をしっかり発信していくメディアとしても有効です。
様々な使い方が考えられるだけに、目的を曖昧にせず、
重要な目的をしっかり絞り込んでおきたいところですね。
□ 基本戦略
ソーシャルメディア運用にあたり基本戦略として、
「ターゲット」と「貢献方針」を明確化したいところです。
ターゲットは、
既存顧客なのか?新規顧客か?
その属性やプロファイルは?
どのような興味関心を持った顧客なのか?
といった視点でできるだけ具体的に描いておきたいところです。
そして、その顧客に対してソーシャルメディアを使ってどのように貢献するのか?
ソーシャルメディア上で、顧客にとって価値ある存在でなければならないのは当然です。
自社のアカウントは、顧客にどのように貢献するのか?できるのか?
顧客にとっての存在意義を明確にしておきたいですね。
□ 全体動線
企業は様々な顧客接点を持っています。
その接点のひとつにソーシャルメディアを加えようとしているわけですよね?
それぞれの接点の間で、
顧客にはどのような動線を描いてもらいたいのか?
を考えておきたいところです。
顧客とのコンタクトポイントを大まかに列挙しておきます。
・ソーシャルメディア系
Twitter、Facebook、Youtube
・その他ネット系
公式Site、キャンペーンSite、Blog、EC、メルマガ
・リアル系
店舗、イベント、セミナー、営業マン
□ プロモーション政策
冒頭に設定した目的を達成するためには、
合わせて様々なコミュニケーション政策を立案しておく必要があります。
できれば、大まかな年間計画ぐらいを立てておくとよいでしょう。
・施策としてよく用いられるもの
価格政策(ツィ割)、アンケート、キャンペーン(Net/Real)、イベント、、、
□ KPIと定量目標
また、その運用成果もしっかり効果測定しておきたいもの。
その結果、PDCAサイクルを回して、運用を見直すことも必要となります。
・KPIとしてよく用いられるもの
Tweet数、フォロワー数、RT数、クリック数、CTR、CVR、、、
クリエイティブ
□ クリエイティブコンセプト自社アカウントは企業の顔です。
様々なクリエイティブによってそのブランドイメージにも影響しますので、
しっかりクリエイティブコンセプトは明確化しておきたいところですね。
□ バックグラウンド
Webページのバックグラウンドは視覚的にインパクトがありますから、
クリエイティブコンセプトをしっかり体現したデザインにしておきたいものです。
□ アイコン
アイコンのイメージも重要な影響力を持っています。
企業のロゴを使うか?担当者の顔出しか?
一般にソーシャルメディアはパーソナリティを押し出した方が効果的ですが、
当然、リスクなども発生しますので、よく考えておきたいところです。
□ アカウント名
アカウント名もパーソナリティを表現する手段です。
シンプルに企業名を使っても良いのですが、
ユニークなアカウント名を検討することも一案でしょう。
ポリシー
□ 発信コンテンツそもそもソーシャルメディアで、どのような情報を発信するのか?
その発信コンテンツの方針をしっかり固めておきたいですね。
企業が発信する内容としては、以下のコンテンツが考えられます。
・有益情報 :顧客にとって有益なノウハウなどの紹介
・パーソナル:個人的なつぶやき
・ニュース系:顧客の関心事に関わるニュースリリースなど
・販促系 :自社商品に関わる情報、キャンペーン情報など
・サポート系:顧客の質問、よくある質問などに答える
・広報 :企業からの広報情報
その他、発信のタイミング(曜日、時間帯)、
発信の頻度なども大まかに決めておくとよいでしょう。
特に、顧客がアクセスするタイミングにうまく発信すると有効です。
□ トーン&マナー
大まかにトーン&マナーを分類すると、
公的/私的、硬式/軟式と分解できるかもしれません。
私的・軟式発信では、自己開示(実名、顔出し)し、
個人的なキャラクターを前面に押し出すイメージですね。
ギャグを飛ばしているカトキチのアカウントなどは好例かもしれません。
□ インタラクション方針
顧客との双方向の対話にどのように取り組むかの方針も必要です。
・Reply(Passive/Active)
リプライするのか?否か?
リプライする場合も、(話しかけられた場合(Passive)のみ返すのか?
関連話題を検索して能動的(Active)に返信するのか?
・Retweet
顧客の発信をRetweetするのか?しないのか?
・Follow、Refollow
積極的にフォローするのか?しないのか?
フォローされた場合、リフォローするのか?否か?
□ コミュニケーションガイドライン
ソーシャルメディアの会話は担当の判断に委ねられる部分が大きいので、
基本的に守るべきコミュニケーションガイドラインを作成しておきましょう。
概ね、以下のポイントを押さえておくとよいと思います。
心構え:責任、敬意、感謝、誠実、透明性、謙虚
To Do:マナー、引用明示、謝罪、正確性
To Do Not:遵法(守秘義務、個人情報、著作権、肖像権等)、
誹謗中傷・批判、提灯記事、反社会性、感情論、隠ぺい
また、これらを徹底する教育トレーニングを施すことも有効です。
体制
始めてみると難しいのが運用の部分です。円滑に遂行できる体制をしっかり定めておきたいものです。
□ 担当者体制(一人/複数)、役割分担、管理者
まず、誰が発信するのか?
それなりにネット上のコミュニケーションスキルを有した人が望ましいですね。
以前からブログやTwitterに取り組んでいる経験者はいませんか?
また、一人に依存するとリスクが高まります。
しかし、複数人で取り組むと発信のトーン&マナーなどを統一させることが難しくなります。
これは一長一短ですが、企業としての継続性を考えると複数体制が安心でしょう。
□ マネジメント体制(PDCAサイクル)
前述の通り、KPIを決めて振り返ることが求められます。
成果を見極めて、次の取り組みに向けた改善を施すなど、
定期的にPDCAサイクルを回していきたいものです。
□ リスクマネジメント体制
ガイドラインを作成していても、事故を100%防ぐことはできません。
重要な発信は検閲することも必要かもしれません。
また、自社アカウントや自社製品名に関わる発言をモニタリングし、
問題が起きていないか?気を配っておきたいものです。
仮に、問題が発生した時の報告・連絡ルート、対策立案・実施体制など
あらかじめリスクマネジメント体制を明確化しておきたいものです。
総括
ソーシャルメディアに対する企業のスタンスも様々ですね。以前、ソーシャルメディアの活用を企業に提案したところ、
A社は炎上リスクを恐れ、提案は受け入れられませんでした。
その反面、同業界のB社は積極的に導入に踏み切りました。
確かに炎上リスクはあります。
しかし、顧客と積極的に対話していくことが顧客との良好な関係性を築くと同時に、
自社のコミュニケーション能力も高まっていくと思うのです。
この両者の格差は今後も広がっていくと思います。
何と言っても、TwitterやFacebookのようなソーシャルメディアは、
大きな初期投資を必要とせず、手軽に取り組むことができます。
「まずはトライしてみよう」という取り組みも悪くはないと思うのです。
先日、相談を受けたC社もソーシャルメディアに「本当に効果は上がるのか?」、
「炎上などのリスクはないのか?」など半信半疑ながらも
Twitterを用いたキャンペーンを実施ししました。
結果は我々の内部目標には達しなかったものの、
クライアントは十分な手ごたえを感じたらしく、今後も継続するそうです。
そろそろ企業も地に足をつけて、
戦略的な「ソーシャルメディア・マーケティング」に
取り組むべき時期にあるのではないでしょうか?
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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