声は持って生まれたものなので変えようがありませんが、
その「声の使い方」は様々な工夫ができるはずです。
今回も、ジョブス、キング牧師、田中角栄、チャップリン、
リンカーン、ヒットラーを題材に考えてみました。
(1)スピード
一般に、プレゼンでは早口になる方が多いようですね。
これは、緊張に起因することが多いと思いますが、
できれば、しっかりコントロールしたいものです。
自分にとって通常よりスピードを落とす気持ちで話すと良いようです。
しかし、、、
個人的にはスピードは単に遅いことが良いわけではないと思っています。
早くスピーディーに話すことで、エネルギッシュなイメージを与えます。
逆に、ゆっくり話すことで、自信や信頼を表現できるのではないでしょうか?
こうなったら、自己演出ですね。
今の自分をどのように「見せたい」「見られたい」のか?
そんなことを考えながら、スピードコントロールしたいものです。
(2)ボリューム
基本は大きな声でプレゼンすることが望ましいのは言うまでもありません。
しかし、これもむしろ「抑揚をつける」ためにコントロールしたいものです。
何を強調したいのか?どのフレーズを印象づけたいのか?
結局、この「スピード」と「ボリューム」の効用は、
・抑揚をつけてプレゼンにメリハリをつける
・強調ポイントを明確に示す
という効果が期待できるはずです。
しかし、スティーブ・ジョブスのスピーチをVoiceという視点で見ると、
あまりこのボリュームによって抑揚をつけているわけではありません。
どちらかというと「淡々と」語りかけているように感じます。
そこで、「トーン」という要素が、
かなり重要な役割を果たしていることに気づきました。
(3)トーン
実際には、この「トーン」がプレゼンの印象を大きく左右するように思います。
この「トーン」とは、スピードやボリュームに加え、口調や声質などを
駆使することでスピーチ全体のイメージを変えることができます。
前述のように、ジョブスは淡々と語りかけるようなトーンでした。
これは、クールで信頼感を感じさせます。
キング牧師の「I have a dream Speach」では、
16分のスピーチ全体で、トーンを徐々に変化させています。
スピーチの冒頭では、ゆっくりとひと言ひと言かみしめるようなスピードで、
少しボリュームも押さえぎみです。
そこから、徐々にスピードは上がり、ボリュームも大きくなっていきます。
最後は、身ぶり手ぶりも大きく、拳を突き上げるしぐさなども使って、
エキサイティングな高揚感を演出しています。
聴衆は大興奮ですね。(^^)
もう一人、参考事例を、、、
これも「Prologue編」で登場しましたが、「田中角栄」。
田中角栄が「日本列島改造論」を語る時は、多いに力強さをアピールしています。
声には力がみなぎり、大きな声で叫ぶ。身振り手振りもフル活用です。
一方では、街頭演説で庶民派をアピールする時は、
トーンを押さえて、近所のオヤジが親しい仲間と話をしているかのような
親しみにあふれた喋り方をするんです。
まるで、一人を相手に語りかけるような印象です。
田中角栄もプレゼンの天才ですね。
さらにもう一人、、、
大衆を魅了したリーダーとして、ヒットラーもスピーチの天才だと思います。
彼は、一貫して大きな声、早めのスピードで、力強さを感じさせるスピーチです。
また、ドイツ語自体が非常に強いトーンを持っているので、
なおさらそんな印象を持つのかもしれませんが・・・
当時のドイツ国民は、強いリーダーを求めていたのかもしれません。
その期待にこたえるリーダー像を自ら演出していたように思います。
(4)リズム
声そのものとはちょっと違うかもしれませんが、
名スピーチには、リズムへの工夫が見られます。
リンカーンのゲティスバーグ演説。
「government of the people, by the people, for the people」という
フレーズはあまりに有名ですよね。
まるで軽やかな歌のようにリズミカルな韻を踏んでいます。
また、リズムを変える効果も大きいですね。
チャップリンの映画「独裁者」。
最後のシーンで、独裁者を演じるチャップリンが演説をします。
淡々と語る冒頭から、最後は絶叫するような盛り上がりを見せます。
この演出はキング牧師のスピーチと同様です。
この映画では、その演説に続いて、ヒロインのハンナに語りかけます。
リズムを変え、トーンを落とし、やさしい声に変わります。
グッと視聴者のマインドを引きつけますね。
もちろん、これは映画であって、ビジネスプレゼンではありません。
しかし、プレゼン技法としては大いに参考にすべきものがあると思います。
変調の一種に「沈黙の効用」があります。
これは、結構私も使います。
プレゼンの途中に、突然、黙る。
聞き手は「おやっ?」と思います。
沈黙は聞き手に「違和感」をもらたすんですね〜。
それとともに、プレゼンターに再度注目してしまうものです。
これ、時々ジョブスも使っていますよ。
(5)滑舌
そして、名プレゼンに必須の要件は、滑舌です。
静かに話そうが、エキサイティングに叫ぼうが、
結局、何にもまして滑舌がカギだと思うのです。
また、「声が小さい」と指摘される方も、
語尾までしっかり滑舌良く発生すれば、声の小さいことなど気になりません。
「早口」でも、滑舌の良い語り口は決して聞き取りにくいこともありません。
これは、私の経験則です。
役者やアナウンサーの練習フレーズ「アエイウエオアオ」は
滑舌を良くするためのものですね。
もっとも、私はそんな練習はしたことがありませんが、、、(^^)
【関連テーマ】
プレゼンを科学する(序) スティーブジョブスに挑戦
プレゼンを科学する ジョブスに挑戦(1)「Prologue編」
プレゼンを科学する ジョブスに挑戦(2)「Talk編」
プレゼンを科学する ジョブスに挑戦(3)「Voice編」
プレゼンを科学する ジョブスに挑戦(4)「Eye編」
プレゼンを科学する ジョブスに挑戦(5)「Action編」
プレゼンを科学する ジョブスに挑戦(6)「Total編」
最強のプレゼン、スピーチ、演説映像集
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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その「声の使い方」は様々な工夫ができるはずです。
今回も、ジョブス、キング牧師、田中角栄、チャップリン、
リンカーン、ヒットラーを題材に考えてみました。
(1)スピード
一般に、プレゼンでは早口になる方が多いようですね。
これは、緊張に起因することが多いと思いますが、
できれば、しっかりコントロールしたいものです。
自分にとって通常よりスピードを落とす気持ちで話すと良いようです。
しかし、、、
個人的にはスピードは単に遅いことが良いわけではないと思っています。
早くスピーディーに話すことで、エネルギッシュなイメージを与えます。
逆に、ゆっくり話すことで、自信や信頼を表現できるのではないでしょうか?
こうなったら、自己演出ですね。
今の自分をどのように「見せたい」「見られたい」のか?
そんなことを考えながら、スピードコントロールしたいものです。
(2)ボリューム
基本は大きな声でプレゼンすることが望ましいのは言うまでもありません。
しかし、これもむしろ「抑揚をつける」ためにコントロールしたいものです。
何を強調したいのか?どのフレーズを印象づけたいのか?
結局、この「スピード」と「ボリューム」の効用は、
・抑揚をつけてプレゼンにメリハリをつける
・強調ポイントを明確に示す
という効果が期待できるはずです。
しかし、スティーブ・ジョブスのスピーチをVoiceという視点で見ると、
あまりこのボリュームによって抑揚をつけているわけではありません。
どちらかというと「淡々と」語りかけているように感じます。
そこで、「トーン」という要素が、
かなり重要な役割を果たしていることに気づきました。
(3)トーン
実際には、この「トーン」がプレゼンの印象を大きく左右するように思います。
この「トーン」とは、スピードやボリュームに加え、口調や声質などを
駆使することでスピーチ全体のイメージを変えることができます。
前述のように、ジョブスは淡々と語りかけるようなトーンでした。
これは、クールで信頼感を感じさせます。
キング牧師の「I have a dream Speach」では、
16分のスピーチ全体で、トーンを徐々に変化させています。
スピーチの冒頭では、ゆっくりとひと言ひと言かみしめるようなスピードで、
少しボリュームも押さえぎみです。
そこから、徐々にスピードは上がり、ボリュームも大きくなっていきます。
最後は、身ぶり手ぶりも大きく、拳を突き上げるしぐさなども使って、
エキサイティングな高揚感を演出しています。
聴衆は大興奮ですね。(^^)
もう一人、参考事例を、、、
これも「Prologue編」で登場しましたが、「田中角栄」。
田中角栄が「日本列島改造論」を語る時は、多いに力強さをアピールしています。
声には力がみなぎり、大きな声で叫ぶ。身振り手振りもフル活用です。
一方では、街頭演説で庶民派をアピールする時は、
トーンを押さえて、近所のオヤジが親しい仲間と話をしているかのような
親しみにあふれた喋り方をするんです。
まるで、一人を相手に語りかけるような印象です。
田中角栄もプレゼンの天才ですね。
さらにもう一人、、、
大衆を魅了したリーダーとして、ヒットラーもスピーチの天才だと思います。
彼は、一貫して大きな声、早めのスピードで、力強さを感じさせるスピーチです。
また、ドイツ語自体が非常に強いトーンを持っているので、
なおさらそんな印象を持つのかもしれませんが・・・
当時のドイツ国民は、強いリーダーを求めていたのかもしれません。
その期待にこたえるリーダー像を自ら演出していたように思います。
(4)リズム
声そのものとはちょっと違うかもしれませんが、
名スピーチには、リズムへの工夫が見られます。
リンカーンのゲティスバーグ演説。
「government of the people, by the people, for the people」という
フレーズはあまりに有名ですよね。
まるで軽やかな歌のようにリズミカルな韻を踏んでいます。
また、リズムを変える効果も大きいですね。
チャップリンの映画「独裁者」。
最後のシーンで、独裁者を演じるチャップリンが演説をします。
淡々と語る冒頭から、最後は絶叫するような盛り上がりを見せます。
この演出はキング牧師のスピーチと同様です。
この映画では、その演説に続いて、ヒロインのハンナに語りかけます。
リズムを変え、トーンを落とし、やさしい声に変わります。
グッと視聴者のマインドを引きつけますね。
もちろん、これは映画であって、ビジネスプレゼンではありません。
しかし、プレゼン技法としては大いに参考にすべきものがあると思います。
変調の一種に「沈黙の効用」があります。
これは、結構私も使います。
プレゼンの途中に、突然、黙る。
聞き手は「おやっ?」と思います。
沈黙は聞き手に「違和感」をもらたすんですね〜。
それとともに、プレゼンターに再度注目してしまうものです。
これ、時々ジョブスも使っていますよ。
(5)滑舌
そして、名プレゼンに必須の要件は、滑舌です。
静かに話そうが、エキサイティングに叫ぼうが、
結局、何にもまして滑舌がカギだと思うのです。
また、「声が小さい」と指摘される方も、
語尾までしっかり滑舌良く発生すれば、声の小さいことなど気になりません。
「早口」でも、滑舌の良い語り口は決して聞き取りにくいこともありません。
これは、私の経験則です。
役者やアナウンサーの練習フレーズ「アエイウエオアオ」は
滑舌を良くするためのものですね。
もっとも、私はそんな練習はしたことがありませんが、、、(^^)
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