プレゼンのプロローグは多少なりとも緊張するものです。
しかし、ここで聞き手のマインドをグッとつかめるかが、
プレゼンの成否を大きく左右するというのも事実です。
最初にシクじるとなかなか挽回するのは大変なものですよね。

そこで、プロローグの「つかみ」について考えてみましょう。

(1)意外性

聞き手はいつもドラマを期待していると思うのです。
そこで、冒頭に「おやっ?」と思わせるような「意表を突く意外性」があると良いですね。

それでは、iPhoneの発表会でのはなし、、、
いきなりJobs「今日は3つの新製品を紹介します」と言い始めます。
おそらく聴衆は「あれっ?」と思ったでしょう。
「他にもあるのか?」「3つって何だ?」、、、
結局。3つではなく、「iPod」「Phone」「Net Device」の3つの機能が融合した
「iPhone」という一つの製品なのだ、、、と種明かしをするのですが、
聴衆の意表をつくには十分な意外性がありましたね。

(2)ビジョン

ドラマを演出するなら「ワクワクするビジョンを語る」ことが有効ですね。
この効果を狙った名スピーチには、キング牧師の「I Have a Dream Speach」が
あまりに有名ですね。キング牧師が「I Have a Dream!」と叫んだのは、
決して冒頭ではなかったけれど、、、

再度「iPhone発表会」でのはなし。Jobsの冒頭はこうでした。
「2年半、この日を待ち続けていた」、、、
いやぁ、このひとことだけでもJobsが語るとドラマティックですねぇ。
そして、「数年に一度、全てを変えてしまう新製品が現れる」
ワクワク、ドキドキしますねぇ、、、(^^;

ビジョンを語る際、緊張構造を作り出すことがキモだと言われます。
つまり、適度なビジョンと現実のギャップを見せることですね。
あまりに現実味を帯びているわけでもなく、あまりに夢物語でもない、、、
良い意味での緊張をもたらすビジョンが必要なのです。

※緊張構造: アメリカのベストセラー作家Robert Fritz氏の言葉

(3)メタファー

間違いなく、メタファー(比喩)は人の関心を引き付けるものです。
また、Jobsのはなし、、、
今度は、「iPod Nano」の発表会の時のスピーチです。
「ジーンズのポケットには、さらに小さなポケットがついていますよね?」
これは、実はウォッチポケット、あるいはコインポケットと呼ばれています。
Jobsは「このポケットが何のためにあるのか、わかったんです、、、」
と言って、そこからiPod Nanoを取り出す。

ちょっとした演出ですが、それくらい小さいんだというアピールですね。

(4)コピー

キャッチコピーの持つパワーは想像以上のものがあります。
田中角栄は「日本列島改造論」とブチあげました。
人民のハートをつかむには十分すぎるパワーがありましたね。

このキャッチコピーを考えるヒントは、以前ブログで書きましたが、
 ・全く別カテゴリーの用語を使う
   → 「Docomo2.0」:Web2.0の転用
 ・語り手をずらす
   → 「そうだ!京都へ行こう」:顧客の声にずらす
 ・擬人化する
   → 「お口の恋人」:お口を擬人化
 ・Before/Afterで語る
   → 「もっと乗りたくなる、Zoom、Zoom」
 ・五感で表現する、
   → 「血液サラサラ」
 ・色彩で表現する
   → 赤の旅団(?)

<ご参照>【スキル】コンセプトキーワード開発法

「日本列島改造論」などは、政策を語るのに、
学術的な「論」という言葉を使った好例だと思うのです。

(5)アウトライン

「これから3つの話をします」「それだけです、たった3つです」
2005年、スタンフォード大学卒業式でのJobsのスピーチは、
こんな言葉から始まりました。
そして、「一つ目は、、、」と話は続きます。

これはプレゼンによく使われるテクニックですよね・
まず、聴衆にスピーチの全体構造を理解させる。
そうすることで、聴衆は安定した気持ちで「傾聴」できるわけです。



このプレゼン冒頭のプロローグで、
聞き手のマインドにプラスの影響を与えることがいかに重要か、、、
皆さんは、プロローグをしっかり考えていますか?緻密に設計していますか?

もちろん、Jobsが語るから聴衆は引き込まれるんですよね。
でも、そのJobsでさえ、緻密にプレゼンを設計し、リハーサルを行っているそうで、
一般ピープルの我々は、更なる努力をすべきだと思うのです。(^^)

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株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦


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