様々なビジネスシーンでパワーポイントを使うことが増えていますね。
ドキュメントを作る時、せっかくパワーポイントを使うなら、
表現力のあるチャート(図表)を用いたいものです。

上手にチャートを使いこなすことによって、
伝えたいメッセージを、ひと目で分かりやすく伝えることができます。

パワーポイントのシートを見た瞬間に、
「このシートは何を言いたいのか?」
が瞬時に伝わる表現を心がけたいものです!

以前「9つのグラフを使い倒そう!」というエントリーがとても好評でした。
同様に、チャートについても問題意識を持っている方が多いと思います。

「どんな時に、どのようなチャートを用いれば良いのか?」

そんな疑問に応えるために、私が良く用いる9つのチャートを紹介します。

全体像

私がよく用いるチャートは以下の通りです。
これらはパワーポイントでも比較的手軽に描けるものばかりです。

チャート表現


大きく分類すると、
  1. 分解表現 (全体像を細かく分解する)
  2. 特性表現 (複数の要素の特性を比較する)
  3. 時間軸表現(時系列の関係を明らかにする)
という3つの表現がありそうです。

分解表現チャート

分析や提案の基本は「分解」です。
全体像をきめ細かく分解して分析したり、
いくつかの要素にわけて提案することがあるでしょう。

そんな「分解」を表現する手段として良く用いられるのが、
「ロジックツリー」、「ベン図」、「ピラミッド構造」です。

【分解表現チャート1】ロジックツリー

ロジックツリー


ロジックツリーを良く使っている方は多いのではないでしょうか?

ロジックツリーを描く際には、
大きな概念を構成要素別に分解してみる。
そのひとつをさらに細かく分解する。
といった段階的に分解していくことでロジックツリーが出来あがります。

ロジックツリーを使って分解する際には、MECEであること、
つまり「ヌケモレがなく、ダブりのない状態」に分解することがコツです。

ロジックツリーの用途としてはいろいろ考えられますが、
私は、主に3つの用途で用いることが多いですね。
(1) 構成要素分解(Whatのロジックツリー)
ひとつの概念を単純に構成要素を分解する

(2) 原因探索(Whyのロジックツリー)
問題点の原因と考えられる要素を列挙する

(3) 解決策立案(Howのロジックツリー)
問題解決の打ち手を列挙する
このようにロジックツリーは様々な局面で活用できるチャートですね。

【分解表現チャート2】ベン図

ベン図

前述のロジックツリーがMECEに分解するのに対し、
ヌケモレ・ダブりが起こるものもありますね。

例えば、
「パソコン、スマートフォン、タブレット端末の保有状態」
を表現するには「ベン図」が便利ですね。

この場合、
  1. パソコンのみ持っている
  2. スマートフォンのみ持っている
  3. タブレット端末のみ持っている
  4. パソコンとスマートフォンのみ持っている
  5. パソコンとタブレット端末のみ持っている
  6. スマートフォンとタブレット端末のみ持っている
  7. 全て持っている
  8. 全て持っていない
という8つのグループを一枚のチャートで分かりやすく表現できます。

【分解表現チャート3】ピラミッド構造

ピラミッド構造


分解と言っても、その要素に「上位概念」と「下位概念」といった
階層の違いを表現したい時に有効なのがこのピラミッド構造です。

有名な事例としては、「マズローの欲求段階説」ですね。
  1. 生理的欲求
  2. 安全の欲求
  3. 所属と愛の欲求
  4. 承認の欲求
  5. 自己実現の欲求
この5つの欲求のうち、ヒトはまず下位の欲求を満たそうと行動し、
それが満たされると、その一つ上位の欲求を満たそうとする、、、
それをピラミッド構造で表現したわけです。

特性表現チャート

いくつかの要素の特性を比較・分析する時などに、
この特性表現チャートを有効です。

【特性表現チャート4】表組み

表組

「表組み」は、比較・分析などで必須のチャートです。
エクセルなどのスプレッドシートで手軽に作れますよね。

タテ軸とヨコ軸の組合せによるマトリックス分析によって、
  • 「営業所別×商品別売上比較」
  • 「自社×競合の製品特性比較」
などなど、きめ細かな比較・分析が可能となります。

定量データの分析や定性的比較表など、
実務の中でも様々な使われ方をしていることでしょう。

この「表組み」による情報整理が比較分析の基本データとなります。
全てのデータをきめ細かく見せるなら「表組み」で表現すればよいのですが、
それでは、
  • 情報が過多になりやすい
  • 重要なポイントが見えにくい
といったマイナス面が生まれやすいので注意が必要です。

そこで、伝えたいメッセージをしっかり伝えるために、
「二次元マップ」「四象限マトリクス」を用いることとなります。

【特性表現チャート5】二次元マップ

二次元マップ


表組みで様々な特性比較分析をしたのち、
その中でも重要な2つの項目をピックアップして、
マップに展開したものが二次元マップです。

マーケティングでは「ポジショニングマップ」に用いられますね。

つまり、ポジショニングマップとは、
「2つの訴求ポイントで他社製品と差別化できている」
ことを一枚のチャートで表現しているわけです。

【特性表現チャート6】四象限マトリクス

四象限マトリクス

二次元マップをもっとシンプル化し、タテ軸、ヨコ軸をそれぞれ2分割、
全部で四つの象限に分類したチャートです。

有名なフレームワークとしては、
アンゾフの「製品-市場マトリクス(成長マトリクス)」がこれに該当しますね。

「二分解」はモノゴトをシンプルに見せることができます。
  • 「既存」×「新規」
  • 「高い」×「低い」
  • 「Yes」×「No」
  • 「有」×「無」  などなど、、、
そんな荒削りな分解も、異なる2つの視点を持って四分解すると、
シンプルであり、かつ多面的な分析が可能となりますよ。

時間軸表現チャート

これも分解の一種ですが、時間軸を切り口とすることも有効です。
モノゴトを時間軸で捉え、
「どこに問題が起きているのか?」
「どのような手順をとればよいのか?」

などが表現できます。

【時系列表現チャート7】プロセスチャート

プロセスチャート

一本の時間軸を採って、その進行プロセスに着目して、
分解を図る場合、このプロセスチャートを用います。

代表的なチャートとしては、ビジネスの流れを時間軸で捉えた
「バリューチェーン」が挙げられます。
これはビジネスを大まかな流れに沿って分解して分析するツールです。

ビジネスは、本当は一本のフローで描けるほど単純ではありません。
しかし、ここではその時間軸関係を正確に描くことが目的ではなく、
情報をシンプルにわかりやすく表現できるところに意味があると思います。

【時系列表現チャート8】フローチャート

フローチャート


プロセスチャートが大まかな流れを描いているのに対して、
「フローチャート」はきめ細かい業務フローなどを表すのに有効です。

そこには判断、分岐、処理、入出力など、実際に行う手続きなどを
きめ細かく、正確に表現することができます。
パワーポイントでは、描画ツールで基本的なフローチャートの記号が用意されています。

プロセスチャートが分かりやすさを重視しているのに対し、
フローチャートは正確さを重視ていると言えるでしょう。

このあたりは目的に応じて使い分けが必要ですね。

【時系列表現チャート9】因果関係図

因果関係図


「因果関係図」は、原因と結果の関係を明確にするためのチャートです。

これは正確に言えば、時間軸ではないのですが、
一般に原因と結果の関係には時間の経過と関連することが多いため、
ここに分類しておきました。

原因と結果は、必ずしも「1対1」の関係ではなく、
とても複雑な構造を持っていることが多いので、
それら全体を俯瞰するためには、チャート表現が有効ですね。


総括まとめ

今回は私が主に活用している9つのチャートを整理してみました。
これだけでも、多くのメッセージを図解できると思います。
まずは、これらを使いこなすところから始めてはいかがでしょう?

また、さらに他にも様々なチャートがありますし、
グラフも交えることで表現力はとても豊かになると思います。
あわせて「9つのグラフを使い倒す!」もご参照ください。

参考までに、グラフ表現の全体像を再掲しておきますね。

グラフOV


まずは基本をマスターし、

「おっ、なかなかヤルな!」

と周りを驚かせてやりましょう!



ご参考になれば、、、



株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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