「あなたはお客様のことを100%理解していますか?」

多くの方は自信を持って「もちろん!」と答えるかもしれませんが、
意外とそれは難しいものだと思うのです。
今回は、顧客ニーズを理解するための第一歩として
顧客インタビュー」について考えてみます。

目的を明らかにすること

まず、最初にインタビューの目的を明確化することからスタートです。
ソリューション営業の場合、顧客ニーズを明らかにし、
それに対して的確な提案をすることが目的となりますよね。

つまり、
ソリューション0
という目的を持っていることになります。

そもそも「ニーズ」とは何か?

いまさらではありますが、顧客ニーズとは何でしょうか?
「お客様が欲していること」などと表現されることが多いようです。
もちろんそれは間違っていないのですが、十分とは言えません。

私は「顧客ニーズ」を説明する時、
お客様の現状と目指すべきゴールとの間に発生する
ギャップを埋めたいという欲求

と表現しています。

例えば、真冬の会議室がとても寒かったとしますね。
エアコンが壊れていて、どうにもならない、、、
そんな時、皆さんはどうしますか?

「厚手の上着を着る」とか「温かい飲み物を飲む」など、
様々な対策が考えられます。
これら上着や飲み物は「欲しているモノ」ではありますが、
本質的なニーズではありませんよね。
これはあくまで現状の問題を解決するための解決手段、
つまり、「ソリューション」に過ぎません。

あくまで、本質的なニーズとは、
「この寒い現状を何とか快適な環境で会議に臨みたい」
というものだと思うのです。

明らかにすべき論点

それでは、インタビューによってニーズを特定するために、
把握しなければならない情報は何か?
ニーズの概念をもとにすると、インタビューの構造が見えてくるはずです。

それは、
(1)現状の問題構造
(2)解決すべき原因
(3)ソリューションイメージ
この3点をインタビューによって明確化し、
顧客と共有する必要があるわけです。

現状の問題構造

第一の論点は「現状の問題点を明らかにすること」です。

前述の通り、現在抱えているニーズを把握するためには、
「顕在化している問題」「目指すべきゴール」を明らかにする必要があります。
そのギャップを埋めることが真の狙いとなります。

納期遅延に悩んでいる企業があったとします。
顧客のクチから「業務フローを簡素化したい」と
悩みを打ち明けられたとしましょう。

「わかりました!業務コンサルを提案させて下さい」

これでは、お客様の言葉を鵜呑みにしている御用聞き営業に過ぎませんね。

そもそも何のために「業務フローを簡素化したい」のか?
顕在化している問題、目指しているゴールはどのような姿なのか?
お客様の真のニーズは、このギャップを埋めることに他なりません。

ソリューション1

まず「現状」と「ゴール」を整理、明確化することが
ソリューション営業の第一歩と言えそうです。

問題分析

次のステップとしては、
その現状の問題を引き起こしている「真の原因」に迫るべきです。

モノゴトには必ず「原因と結果」という関係があります。
何か問題点が起こっているということは、その原因もあるはずですね。
結果を望ましいものにしたければ、まずその原因にメスを入れましょう。
つまり、ここで明らかにしなければならないのは「問題の因果構造」なんです。

「原因は、おっしゃる通り煩雑な業務フローにありそうですね。」
「しかし、そもそも人手が足りないんじゃありませんか?」

といった他の視点も提供できるとベターですね。

ソリューション2

まず、現場の状況などの事実情報を明らかにし、
真の原因がどこにあるのかをお客様とともに考えたいものです。

ソリューションイメージ

そして、最終的にはソリューションイメージをお客様と共有します。
業務フローを簡素化したいなら「業務コンサル」が有効かもしれません。
しかし、今後事業規模が拡大する見込みなら、
「システム導入」によって省力化を目指すことも有効ですよね。

また、システム導入の過渡期における短期的対応なら、
「アウトソーシング」も有効なソリューションとなるに違いありません。

ソリューション3

これで、当初「業務コンサル」の引き合いだったものが、
「システム導入」、「アウトソーシング」という大型案件に変身します。
さらに、お客さまにとってもベストソリューションとなるに違いありません。

オープン思考

しかし、営業マンとしては担当商品を売るために、
他の商材には目を向けたくはないかもしれませんね。

ただ、目標はお客様にとって最適なソリューションを考えることです。
そのためには、自社の他部門商品、さらには他社商品を組み合わせて、
最適なソリューション提供を目指していきたいものです。

組織の視点に縛られることなく、ソリューション営業ならではの
「オープン思考」で顧客に貢献していきたいものです。

インタビューと言っても「共創思考」

インタビューと言うと一方的に傾聴する印象があります。
しかし、ここではお客様と共に考え、共に生み出し、共有する
創造的な議論の場
と考えたいですね。

お客さまも頭の中が整理できているとは限りません。
ましてや、解決手段がイメージできていないことも多いはずです。

お客様が望んでいるのは、
共に問題解決に取り組んでくれるパートナーだと思うのです。

まとめ

結局、ソリューション営業に求められるのは、
(1)現状の問題構造
(2)解決すべき原因
(3)ソリューションイメージ
という3つの視点と、
(A)オープン思考
(B)共創思考

という2つの思考だと思うのです。

ごく当たり前のことかもしれませんが、
とても難しいことのようにも思えます。

一人ひとりのお客様をに対して、この3つの視点と2つの思考を持って、
丁寧にソリューション提供に取り組んでいきたいものですね。


株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦
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